筆者のかねての主張は、「70歳まで元気に働こう」だ。経済的な理屈づけは別稿に譲り、本稿ではやや直感的な議論を紹介してみたい(2013年9月「70歳まで働いて帳尻を合わせよう」 参照)。 「老後を楽しむ」というのは、動物のなかで唯一ヒトにだけ与えられた特権だろう。他の動物は、生存のために一生自ら餌を探さなければならない。 ヒトにそうした特権が許されるのは、「(高齢者や子供などの)働いていない世代」が消費する財やサービスを、その時々の「働く世代」が稼ぎだしてくれるからだ。たしかに、個々人でみれば、老後は貯蓄をとりくずして過ごすことになる。しかし、マクロ的にいえば医療であれ旅行であれ、老後の消費のほとんどが、その時々の「働く世代」による生産物にほかならない。 では、「働く期間」と「働いていない期間」のバランスはどう推移してきただろうか(参考1)。 (注)試算の方法、資料は本稿末尾に記載。なお、老