南北朝への入門として読むべき本、となると意外に難しいものです。良書・名著は多いのですがある程度の基礎知識が前提になる場合が多いようにも思われますので。…という訳で、初心者向け候補として今回はさいとう・たかを『マンガ日本の古典 太平記』上・中・下(中央公論社)について述べていこうかと。 このシリーズ、『古事記』や『源氏物語』『平家物語』など様々な古典を大物漫画家たちが漫画作品として仕上げた豪華企画。『太平記』を担当したさいとう・たかを先生も無論、『ゴルゴ13』などで知られた超大物です。オリジナル部分も多少入れつつも古典『太平記』に概ね準拠して南北朝動乱を迫力満点の劇画で描き出した一品。さいとう先生は 劇画こそスペクタクル・シーンに最適のメディアである(さいとう・たかを『マンガ日本の古典 太平記 下』中央公論社 270頁) と主張しているそうですが、最適かどうかは分かりませんが確かに非常に動的