バブル崩壊までの日本の戦後社会は「民間によるベーシックインカム」がある程度機能していた社会なのかな、と思ったり。働きのよい人ばかりではなかったけど、年功序列で給料がみんな一応上がり、それなりに暮らせた。企業はどこも雇用を最重視。首切りに対しては非常に世間の目が厳しかった。 バブル崩壊して四年ほどした頃、「悪平等」という言葉が流行りだした。働きのよい人間と悪い人間の給料に大きな違いがないのは悪平等だ、と。90年代、不良債権で苦しんだ日本はバブルの頃のような羽振りは利かず、再浮上の口実に「悪平等の打破」がささやかれるように。 山一証券破綻(97年)でよく話題になったのが「よい部長ができます」。山一証券がなくなり、再就職活動を始めた幹部の言葉。特技は何か尋ねられてるのに、こうしか答えられなかった、と。特技も言えないのに同じ待遇を求めるのに呆れる、という記事が話題になった。悪平等の声が盛んになり始
Bill Mitchell, “What is the problem with rising dependency ratios in Japan – Part 2“, – Modern Monetary Theory, October 29, 2019. 今回は日本の人口変動についてのシリーズのパート2。パート1-(2019年10月28日)(邦訳)では、就業者への依存率の上昇に伴う問題を考察するための準備として、日本の依存率の変化をみた。その目的は「就業者への依存率が上昇すると財政の危機につながり、財政の破綻可能性が高まる」という世間一般の議論を否定することだった。この間違った主張は、緊縮財政政策を目指すことを正当化する理由の一つとして一般に用いられて続けてきたものだが、まさにこの主張こそが日本の成長を損ない、失業を増大させ、その他の悪弊を引き起こした当のものなのだ。「健全財政」のロ
58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、2005年に楽天証券経済研究所客員研究員、23年3月から現職。 山崎元のマルチスコープ 旬のニュースをマクロからミクロまで、マルチな視点で山崎元氏が解説。経済・金融は言うに及ばず、世相・社会問題・事件まで、話題のネタを取り上げます。 バックナンバー一覧 労働者ではなく「移民」として受け入れたい 外国人労働者を受け入れる枠組みとなる入国管理・難民認定法の改正案が12月8日に成立した。国会審議の過程では政府側に多くの不手際があったし、つたないながらも野党はこれを批判してそれなりの話題にはなったが、与党側が押し切って法案を成立させた。 審議は率直に言ってかなりお粗末なものだったから、「拙速」「強引」などいくらでも批判は可能だが、現実に法案は成立した。そして、早く
すくらむ国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。 東京医科大学が2月に実施した医学部医学科の一般入試で、女性受験者の点数を一律に減点し、女性の合格者数を減らしていたことが判明しました。大学側は「女性は大学卒業後に出産や子育てで、医師現場を離れるケースが多い。医師不足を解消するため」「いわば必要悪。暗黙の了解だった」とし、女性の合格者を全体の3割以下に抑える調整が行われてきたとのことです。こうした女性差別は日本社会を劣化させ日本経済もさらに衰退させるものです。 下のグラフは、OECDの「ジェンダー白書」に掲載されている「男女差別の解消と経済成長の見通し(各国のGDPで、単位は10億米ドル)」に、私が「男女差別が解消するシナリオでのGDP」が「男女差別に変化なしのシナリオでのGDP」の何%にあたるかを書き加えたものです(男女
うちの兄貴がよくあるIT成金の1人なのだが、この前あったときに「兄貴は寄付とかしないの?」みたいな話をしたときに、日本の金持ちが多額の寄付をしたり金持ち増税を主張したりしない理由がわかった気がしたので、ここに書く。まあ参考例が兄貴とその経営者仲間だけなので、一般論として語るには無理がある気がしないでもないが、参考になれば。「いや、オレら"高貴"じゃねーし」ノブレス・オブリージュとかあるんじゃないの的なことを聞いた返答がこれ。直訳すると「高貴なる者の義務」なんだから、「高貴」じゃないオレとか関係なくない?と。逆に日本で「高貴」なのはどういう人かと聞くと、官僚、政治家、大企業の経営陣、大学教授、医者とかとのこと。ネット企業の社長が「高貴」とかギャグかよ、と。これ、ワタシ的には凄く腑に落ちた。もちろん普通に考えると「お金持ち」ってのはそれだけで現代に適用したところの「ノブレス」に該当するんだろう
先日見たドイツ映画『Sommer vorm Balkon』は、下層に生きる都市民の孤独を描いた映画でしたが、実は、歴史的に見ても、貧困と孤独は密接な関わりがあります。 私は下層民研究の専門家ではなく、中世末から近世までのドイツの都市についてわずかばかりの知識を持っているだけですので、全体的な記述は眉に唾を付けて読んでいただければと思いますが、当時の都市の貧民の代表は、独身者、特に独身女性だったということは確実に言えます。 これは何を意味しているかというと、当時は社会の正式なメンバーとして認められる基本的条件に結婚することがありました。しかし、結婚は通常、ある程度の経済的条件が揃ってから行われました。逆に言えば、経済的基盤がない人間は、なかなか結婚が出来なかったと言うことです。 たとえば、近世において、早婚なのは貴族や上層市民の子弟、晩婚なのは下層民の子弟でした。そのため、親方になれない職人
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く