街の書店では、著者のパートナーは出版社だった。しかしデジタルでは著者は出版社を必要としなくなった。少なくとも、カバーデザイナーや編集者ほどには重要でない。その結果何が起きているか。E-Bookの価格をめぐる「出版社対アマゾン」の構図を5年にわたって考察してきた本誌は、それはより本質的な対立軸を隠すものであると考える。 敗者なき「デジタル革命」? E-Bookの価格をめぐる出版社とアマゾンの長い長い議論/抗争は、ほぼ7年目になる。出版社は「適正な価格」を主張し、アマゾンは売上(部数×価格)を最大化する価格を基本にすべきことを主張した。後者は直接には証明不可能だが、データがまとまれば蓋然性は立証されるのに対して、「適正価格」はわかりにくい。本というものがすべてタイトルごとに違い(適正の判断は出版社だけが知っている)という出版社の主張は理屈を超えている。 大手出版社はアップルの協力を得て2010