6日に死刑が執行された元オウム真理教幹部の中川智正死刑囚(55)は、収監されていた拘置所で、教団が化学兵器で武装していった過程や2017年にマレーシアで起きた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏暗殺事件について、自身の経験と照らし合わせつつ考察する論文の執筆に精力的に取り組んでいた。目的は化学テロを防ぐことだった。その「遺稿」が7月中旬、雑誌「現代化学」(東京化学同人)で発表される。【岸達也/統合デジタル取材センター】 2011年12月以降、獄中の中川死刑囚と面会を続けた毒性学の権威で、神経剤に精通する米国の化学者、アンソニー・トゥー(台湾名・杜祖健)コロラド州立大名誉教授らが明らかにした。