ストロー発祥の地、岡山県浅口市に本社を構える「シバセ工業」は、飲食店向けの国産業務用ストロー生産で5割のシェアを握る最大手だ(自社調べ)。紙ストローの台頭に代表される脱プラスチック運動、新型コロナ禍の需要激減といった危機を、どのように乗り越えてきたのか。ジャーナリストの牧野洋さんがリポートする――。(第16回) (第15回から続く) コロナ禍で飲料用ストローがさっぱり売れず 2015年に衝撃的なウミガメ動画が拡散し、プラスチックを取り巻く環境が激変した「ATTV(カメの動画後)」の世界。脱プラスチック(脱プラ)運動が盛り上がり、やり玉に挙げられたのはプラスチックストローだった。 逆風をまともに受けた筆頭格は日本一のストローメーカーであるシバセ工業だ。日本一とはいっても衰退が続くストロー業界に属しており、岡山県の地方都市に工場を置く中小企業にすぎない。社員数はパートも含めて50人で、社員1人