私は1995年より「アメーバ経営」の調査・研究をしてきました。当初はこの見慣れない手法をうまく理解できませんでした。しかし、京セラ社内での会議の観察や、社員の方へのインタビューを重ねるうちに、合理的なシステム設計がなされていることに気づきました。特にそれは人材育成という点において、際立った特徴があると思います。 稲盛さんが27歳で京セラを立ち上げた当時、開発、製造、営業のすべてをひとりで経営判断していました。ところが会社の規模が大きくなると手が回らなくなります。このため、自分に代わって経営判断できる人間を育てる必要が生じました。このような要請もあって、同社の創業間もなく考案されたアメーバ経営は、「人材育成」の仕組みでもあります。 まず、どんな人が育成の対象だったかを考えましょう。その頃の京セラは知名度もなく、優秀なエリートが集まる会社ではありませんでした。平凡な能力の人たちができることは限
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