ゆっくりと加熱されて行く鍋の中では蛙は事の成り行きを自覚出来ずに逃げ後れて茹で上がってしまう、というのが「茹で蛙の悲劇」だが、商業施設に出店するテナント企業など、その典型例だ。ワールドやTSIホールディングスなど大手アパレルの大量退店の背景の一端が出店環境の「ゆっくりと進んだ大幅な加熱」であり、大量退店はこれからが本番になる。 当社が主催するSPAC研究会の9月例会は90年から25年間に渡って毎年、メンバー企業の出店条件を検証して来たが、オムニチャネル化とコストインフレで店舗販売が壁に当たる中で開催した今回、定期借家契約の導入と大店立地法の施行によって出店環境が一変した00年から今年に至る15年間の緩慢なコスト上昇の積み上げが店舗事業の継続を困難にするほどに至った事をデータで実証した。 15年の駅ビルの売上対比不動産費率は20.4%と00年対比3.8ポイント、同人件費率は15.7%と00年