台北でひとりの広告マンと会った。日本人である。彼は台北にいて、日本で販売されるガイドブックや雑誌に載せる広告をとっている。彼がいうには、日本のガイドブックや雑誌への広告は苦戦続きだという。 「日本人の客は少なくないんです。でも、お金を落とさない。フカヒレ店でも、日本人はすぐに、『シェアできないか』と訊くっていうんです。そこにいくと……」 円安のなか、海外への渡航者は減少傾向だという。しかし台湾へ観光に出かける日本人は、それほど減っていない。海外を紹介する本を見ても、台湾の本が多い。 ある出版社の人がこういっていた。 「台湾の本が売れるわけじゃないんですが、ほかが売れないので、台湾の本を出すしかないんです」 その台湾で広告がとれないという。 同じような話を、昔、ギリシャで聞いたことがある。夏になると、ヨーロッパから多くの観光客がギリシャにやってくる。 「ドイツ人はもう徹底して節約です。ドイツ