子会社の損失を組織再編することによって自社に取り込んだり、グループ会社間の自社株買いを活用して生じた譲渡損失を自社の利益と相殺することにより税負担の軽減を図る取引が、国税当局と企業との間で裁判になっている。 前者は、巨額の欠損金を抱えていたソフトバンクの子会社を合併して自社の利益と相殺したヤフー事件である。一方後者は、日本IBMの親会社(日本法人、中間会社)が、米国IBMから資金提供を受け、米国IBMの持つ日本IBM株を購入し、それを子会社の日本IBMが買い取るという取引である。いずれも2014年に最も注目された税務訴訟のケースだ。 日本IBMは、この自社株買いに伴い、みなし配当とほぼ同額の譲渡損失が生じることとなる。みなし配当の方は非課税で譲渡損失の方は利益と相殺できるので、結果として5年間で4000億円を超える所得の税負担を軽減することができたという。 どちらも、「損失」を利用すること