※ 無断転載を禁じます 企業オーナーによる日本法人株式のシンガポール法人への移転 ~株式の譲渡に関する租税条約上の取扱~ 青山綜合会計事務所シンガポール 長縄順一 日本国公認会計士・税理士 はじめに 昨今、シンガポールに進出する形態として、日本法人によるシンガポール子会社設立という形のみならず、オーナー(及びその家族)自らがシンガポールに移住し、シンガポール法人を持株会社ないしは統轄会社として位置づけて日本の法人をシンガポール法人の子会社とする組織再編を検討するケースが散見されます。 この組織再編においては幾つかの手法が考えられますが、本稿ではオーナー個人が税制上日本の非居住者になった上で、保有する株式をシンガポール法人に譲渡する場合の日本-シンガポール間の租税条約について解説します。 租税条約上の取扱 日本・シンガポール租税条約第13条の「譲渡所得」の項において法人の株式の譲渡については