「中国のような国ではなく我々が世界経済のルールをつくる」 (オバマ米大統領) 12カ国による環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が難航を重ねた上で大筋合意となった翌日、10月6日のオバマ大統領の発言である。大国の首脳が特定の国を引き合いにこうしたストレートな物言いをするのは滅多にないこと。波紋を呼んだが、要は、世界のルール作りの大役を中国には渡したくない、ということなのであろう。米国の強い思いが伝わってくる。 米国はこの春、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を巡って中国に外交上の痛烈なパンチを食らった。それが発言の背景にある。AIIBは運営方式が世界ルールと違う。中国主導で中国のための国際銀行で、当初はG7クラスの先進国の参加はないとの見方もあった。ところが、幕を開けると、英国、ドイツ、フランスにオーストラリア、ニュージーランド、それに韓国、台湾などの安全保障上、米国と緊密な関係のところまで