「佐藤さん、すみません、ちょっとご相談があるんですが・・」 若手社員が机の前にやってきて、顔を上げたわたしに、いいにくそうな声でぼそっときり出した。わたしが、ITリッチなプロジェクトをやっていた時代のことだ。 --なあに? 何か、いい話かな? 「いえ、あの・・。例の中間在庫ロットなんですが、どうしようかと悩んでいまして。」 --そこは新しいコード体系を使おうって、先週の打合せで決めたじゃないか。 「そうなんですが、注文書のシステムで、ちょっと困ったことが見つかりまして。あのままでは、番号がかち合ってしまう可能性があると分かったんです。」 彼は仕様書の該当箇所をわたしに見せて、問題を詳しく説明する。なるほど、先週の打合せでは、この点を見落としていたらしい。 --つまり、このまま進めば、ユーザに運用を変えてもらって、少しだけ手間が増えるのを我慢してもらうか、さもなければシステムの設計変更をする
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