記事一覧 記憶遺産のデジタル化 利用広げ、歴史に新たな光 (2014年8月3日午前7時30分) 重要な歴史文書の保存を目的とする国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「記憶遺産」の登録候補として、国内委員会は東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ)(国宝)など2件を選んだ。同文書は奈良から江戸時代まで千年にわたる約2万5千通の文書群。小浜市太良庄にあった東寺領若狭国太良荘の文書が多く残り、荘園の歴史や中世の社会構造を解明する上で極めて貴重な史料とされる。記憶遺産の登録可否は来年になりそうだが、この機会に、こうした文書の価値や保存、公開の在り方を考えてみたい。 ■散逸防いだ桐(きり)箱■ 百合文書という名称は、学問に強い関心を示した加賀藩5代藩主前田綱紀が、東寺から借り受けた史料を分類、整理し、百個の桐箱に納めて返却したことに由来する。史料の価値を認め、後世にきちんと伝えようとした先人がいた