【ニューヨーク=清水石珠実】米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は27日、生成AI(人工知能)を手がける米オープンAIと同社に出資する米マイクロソフトを提訴した。2社がNYTの記事をAIの学習用に許可なく使用し、著作権を侵害していると指摘した。NYTによると、AI学習を巡って大手の報道機関が開発企業を訴えるのは今回が初めての例となる。ほかの報道機関やAI開発企業にも訴訟の動きが広がる可能性があ
ポップ・アートは滅ぶのか? それとも、人間の主体性を賭して生き残るか──。巨匠の作品をめぐる裁判が、その解を示す先例となるかも知れない。 著作権侵害の有無を巡って2017年から続いていた、ポップ・アートの巨匠アンディ・ウォーホルと写真家リン・ゴールドスミスの裁判。 簡単に説明すると、この裁判は「ウォーホルの作品はゴールドスミスの撮影した写真を基にしたもので、著作権侵害に当たる」というもの。結果としては、ウォーホル側(アンディ・ウォーホル美術財団)が敗訴し、7対2でゴールドスミス側に有利な判決が下された。 判決の目玉となっていたのは「フェアユース」及び「アプロプリエーション」にあたるか否か。今後、著作権を巡る裁判が重大な意味を持っていく上で、本件は重要な先例になるとして注目されていた。 ことの発端は、ウォーホルが雑誌の表紙用に依頼された作品。 『ヴァニティ・フェア』誌を飾ったこの作品は、19
ツイート 0.概要 2021年5月30日(日)にNHKがEテレで放送した番組「将棋フォーカス(以下、当該番組)」において、 将棋講座ドットコム(以下、当サイト)の記事が無断転載されました。 それから約3か月間、示談交渉での問題解決を試みましたが、 建設的な話し合いにはほとんどならなかったため、やむを得ず訴訟を提起しました。 そして、約1年半に渡る裁判の結果、知的財産高等裁判所にてNHKによる当サイト管理人の著作権及び著作者人格権侵害が認められて、判決が確定しました。 1.無断転載の範囲 当該番組のコーナー「初心者必見!対局マナー」において、 「座る場所」「駒の準備・片付け」「駒の並べ方」「持ち駒の置き方」「待った」に関する5つの内容のほとんどが、 当サイトの将棋のマナーに関する記事からの無断転載によって制作されたものでした。 その中には当サイト独自の表現が複数含まれており、客観的に見てもほ
オープンソースの3DCGソフト「Blender」の開発団体であるBlender Foundationは、Blenderで作ったさまざまな映画を作品の共有や使用を許可するクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)でリリースしています。そんなBlenderのCCライセンスで公開された短編アニメーション映画を素材に使い、動画をYouTubeにアップロードしたところ、まったく無関係の企業が著作権侵害だとYouTubeに申し立てて削除されてしまう事態が発生しました。 Company 'Hijacks' Blender's CC BY-Licensed Film, YouTube Strikes User (Update) * TorrentFreak https://torrentfreak.com/company-hijacks-blenders-cc-by-licensed-film
漫画を無断で掲載する「海賊版サイト」の被害が後を絶たない中、スペインの広告会社が海賊版サイトにアクセス数に応じて広告収入が得られるサービスを提供しているとして、大手出版社の集英社が、サービスをやめるよう、この会社に文書で要請していたことが分かりました。サイトの収入源である広告料を絶つことを目的に、日本の出版社が海外の広告会社に要請を行ったのは初めてとみられ、会社はサービスの提供を取りやめたということです。 漫画などを無断で掲載した「海賊版サイト」は、アクセスすれば誰もが無料で作品を閲覧できますが、その主な収入源はサイトに表示されるネット広告料とみられています。 集英社によりますと、日本の出版社などで作る団体が弁護士の協力を得て調べたところ、スペインの広告会社が少なくとも27の漫画の海賊版サイトに対して、アクセス数に応じて広告収入が得られるサービスを提供していたということです。 この中には日
2022年10月19日 (2022/10/24追記) 著作権裁判教育音楽 「ついにJASRAC・音楽教室裁判が最高裁決着 論点と、判決の影響をもう一度駆け足で考えてみる」 弁護士 福井健策 (骨董通り法律事務所 for the Arts) さて、いよいよJASRAC・音楽教室裁判の最高裁判決が10月24日と迫りました。(※判決を受けて、末尾に追記しました) 2017年を迎えJASRACが音楽教室からの使用料徴収の方針を発表して、世論が沸騰。ヤマハなど音楽教室側は57万人の反対署名を提出するなど徹底抗戦の姿勢を示したのが発端でした。 約250の教室事業者がJASRACの著作権が及ばないことの確認を求めて逆提訴して以来、6年ごしの大型裁判がついに決着の時を迎えます。 この間の経緯や社会の反応、裁判の影響については、このコラムとその後の追記を参照いただければ。 知財高裁の判断をざっくりと復習する
前回記事「Midjourney、Stable Diffusion、mimicなどの画像自動生成AIと著作権」は、おかげさまで沢山の方に読んで頂き、いろいろな意見や御質問や取材を頂きました。 それらの意見・御質問や取材を通じて、自分の中で新たな整理ができたので、続編の記事を書きたいと思います。 第1 どのような場合に著作権侵害になるのか みなさんの興味関心が強いトピックとして「画像自動生成AIを利用して画像を自動生成し、既存著作物の類似画像が生成された場合に著作権侵害に該当するか」があります。 前回の記事では「学習に用いられた画像と同一の画像が『偶然』自動生成された場合、著作権侵害に該当するか」について解説をしましたが、今回の記事では、もう少し多くのパターンについて検討をしたいと思います。 まず、その前提として「著作権侵害の要件」と「著作権侵害の効果」について説明をします。 この「要件」と「
最大規模の漫画海賊版サイト「漫画BANK」を運営したとして、中国 重慶市の30代の男性に対し、日本の出版社からの情報提供を受けた現地の行政当局が罰金60万円を命じたことが、出版社などへの取材でわかりました。海外に拠点を置く日本向けの海賊版サイトが増える中、現地当局による摘発は、これが初めてとみられます。 「漫画BANK」は、2年間のアクセス数が10億近くにのぼった日本で閲覧可能な最大規模の漫画海賊版サイトで、去年11月、集英社など大手出版4社が法的手続きに乗り出したあと閉鎖されていました。 出版社側がグーグルの情報提供などをもとに運営者の特定を進めた結果、中国 重慶市の30代の男性が関与し、漫画BANKの閉鎖のあとも、別の海賊版サイトを開設した疑いがあることがわかったということです。 出版社側が重慶市の行政当局に対し、状況を説明して処罰を求めたところ、事情聴取やパソコンの押収などが行われ、
1928年10月1日の誕生以来、ウォルト・ディズニー・カンパニーの看板として活躍してきたキャラクターであるミッキーマウスが、95年を経て、著作権切れの時期が2024年に近づいています。 Mickey Mouse could soon leave Disney as 95-year copyright expiry nears | Walt Disney Company | The Guardian https://www.theguardian.com/film/2022/jul/03/mickey-mouse-disney-copyright-expiry In 2024, Mickey Mouse will enter public domain - will this actually happen, and how will it affect Disney? - Quora ht
福井健策 FUKUI, Kensaku @fukuikensaku 弁護士(日本及びニューヨーク)。骨董通り法律事務所 for the Arts 代表。日大芸術学部・神戸大学大学院・iUで客員教授。内閣知財本部・文化庁・デジタルアーカイブ学会・JPASNで委員や理事。 近著『18歳の著作権入門』(ちくま新書)『エンタテインメント法実務』(弘文堂・編著)ほか。優しくしてください。 kottolaw.com 福井健策 FUKUI, Kensaku @fukuikensaku ネット上では断続的に、「トレパク」が話題になりますね。 時には人の絵などをトレースしたか否かだけに議論が集中して、トレースなら即アウト、してなければセーフ、という論調も見られます。念のために書いておくと、少なくとも著作権にはそんなルールはありません。 2022-05-03 09:21:37 福井健策 FUKUI, Kens
文化研究者・山田奨治の仕事(Blogは熟考中のことを書いているので、後で考えを変えることがあります。内容は個人的なもので、所属組織の立場、考え、意見等を表すものではありません。) あるコラム投稿記事(2022/4/28修正;2022/5/10追記:こちらから読めます)のことがTwitterでいくつか流れてきたので、もとの文章(末尾の文献)を確認した。それは、元国立国会図書館(NDL)司書で歴史学者の方が書いた短いコラムだ。 コラム投稿記事の要点はこうである。著作権保護期間が満了した著者の著作にネット公開されていないものがあるのでNDLに問い合わせた。その結果から、以下のような状況だという。 ・当該ネット非公開著作物には、校正者と索引作成者への謝辞がある。奥付に名前がなくても彼らも著作者として扱っている。 ・当該著作物には他の文献からの引用(15行程度)が含まれているので、その文献の著者の保
ウェブサイト上の広告を非表示にする、いわゆる「アドブロック」と呼ばれるツールについて、「ウェブサイトの権利者の著作権を侵害するものではない」という判決がドイツのハンブルク地方裁判所により下されました。 Adblocking Does Not Constitute Copyright Infringement, Court Rules * TorrentFreak https://torrentfreak.com/adblocking-does-not-constitute-copyright-infringement-court-rules-220118/ ウェブ広告はウェブサイトの運営者にとって収益をもたらすといった側面を持っている一方、一部の過剰な広告や目障りな広告がユーザーの可読性を損ねているという問題もあります。こういった問題に直面したユーザーは、広告を非表示にするアドブロックツー
追記:この裁判の控訴審ではなくまた別の裁判ですが、スクショでツイート引用したことだけを理由に著作権法上の正当な引用ではないとされることはないという知財高裁の判示がありました。こちらの新記事をご参照ください。 ツイッターにおいて他人のツイートを引用する際には、当然ながらリツイート機能(RT)を使用することになりますが、場合によって、スクリーンショットの画像を添付することで引用するケースもあります。その理由としては、(1)元ツイート主に引用されたことを覚られたくない、(2)サムネールもまとめて引用したい、(3)元ツイートが消されても証拠が残るようにしたい、等があるでしょう(追記:(5)ブロックされていて正規のRT機能を使用できない、というケースもあるかもしれません)。 比較的よく行われている行為だと思いますが、これに関して、ツイッターが提供する正規のRT機能を使わない、スクショによるツイートの
Published 2021/12/21 18:12 (JST) Updated 2021/12/21 18:29 (JST) 動画投稿サイト「ユーチューブ」に公開した動画が著作権を侵害しているとの申し立てで削除され、精神的苦痛を受けたとして、富山市の40代女性が、申し立てをした京都市の40代女性ら2人に計約118万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は21日、約7万4千円を支払うよう命じた。 原告と被告はそれぞれ、編み物作りの方法を解説する動画を投稿していた。長谷部幸弥裁判長は判決理由で、両者の動画は説明や表現方法が特に似ているとは言えないとし「著作権を侵害しない」と認定した。京都市の女性が、権利を侵害しない可能性があることを知りながら「あえて通知を行った」と判断した。
「漫画村」ネット広告は不法 代理店に1100万円賠償命令―東京地裁 2021年12月21日18時56分 東京地裁(裁判所合同庁舎)=東京都千代田区 海賊版サイト「漫画村」に無断で著作を掲載された漫画家の赤松健さんが、同サイトに掲載する広告を募った代理店2社に対し、1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。田中孝一裁判長は2社が不法行為をしていたと認定し、請求全額の賠償を命じた。 「漫画村」運営者に実刑 海賊版サイト収入「犯罪収益」―福岡地裁 赤松さんの代理人弁護士によると、漫画の海賊版サイトに関わる広告代理店の責任を認めた判決は初めて。 赤松さんが提訴したのはインターネット広告代理店の「エムエムラボ」(横浜市)と親会社の「グローバルネット」(東京都大田区)。判決によると、漫画村では2017年6月以降、赤松さんの著作である「魔法先生ネギま!」と「UQ HOLDER!
仏パリのAFP本社で握手を交わすAFPのファブリス・フリース会長(右)とグーグルのセバスティアン・ミソフ副社長(2021年11月17日撮影)。(c)Thomas COEX / AFP 【11月18日 AFP】フランス通信(AFP)と米IT大手グーグル(Google)は17日、欧州のAFPのコンテンツにグーグルが著作権使用料を支払う「先駆的な」5年契約を結んだと発表した。金額は非公開。 欧州連合(EU)は2019年にデジタルコンテンツの著作権に関する新指令を出し、ウェブサイトや検索エンジン、ソーシャルメディアにニュースコンテンツを掲載する際に報道機関側に使用料を支払うよう義務付ける「著作隣接権」を規定した。これに基づく契約を結んだ通信社はAFPが初めて。 AFPは1年半前から交渉を続けていた。 AFPのファブリス・フリース(Fabrice Fries)会長は契約について「AFPが使用するすべ
Published 2021/11/09 17:12 (JST) Updated 2021/11/10 10:14 (JST) 人気アニメ「鬼滅の刃」のキャラクターのイラストを描いたデコレーションケーキを販売したとして、警視庁向島署は9日、著作権法違反の疑いで、東京都渋谷区に住むケーキ販売業の女性(34)を書類送検した。 署によると、写真共有アプリ「インスタグラム」を通じて1個1万3千~1万5千円で販売し、2019年7月からの2年間で約650万円を売り上げたとみられる。「人気アニメのキャラで作れば売れると思った。犯罪と分かっていた」と供述している。 客は注文する際に希望のイラスト画像を送信していたという。インスタグラムで気付いた制作会社が2月、署に被害を相談した。
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