誰よりもアーティストの近くでサウンドと向き合い、アーティストの表現したいことを理解し、それを実現しているエンジニア。そんな音のプロフェッショナルに同業者の中村公輔が話を聞くこの連載。今回は大友良英、青葉市子、東郷清丸、D.A.N.、スカートらの作品に携わるほか、蓮沼執太フィルのメンバーとしても名を連ねる葛西敏彦に登場してもらった。以前から顔見知りの葛西と中村の2人によるエンジニア談義を楽しんでほしい。 取材・文 / 中村公輔 撮影 / 斎藤大嗣 構成 / 丸澤嘉明 ライトなノリで青森から上京──まずは葛西さんがどういう音楽体験を経てエンジニアになったのか教えてもらえますか? 高校生の頃はThe Vaselinesとかサニーデイ・サービスが好きで、友達とバンドをやっていました。そのうち1人でやるほうが気楽だなと思うようになり、それからはずっとテクノをやっていて。打ち込みのトラックを作ったり、