李泰鎮(イテジン)教授の著書を調べたところ、日本語で読めるものとしては、『東大生に語った韓国史――韓国植民地支配の合法性を問う』(2006年)があり、図書館で借りることができたので、早速読んでみた。 これは、著者が二〇〇四年六月から七月にかけて、日本の東京大学駒場キャンパスで総合文化学科大学院生を対象に行なった集中講義を記録したものだという。氏を招請したのは、高橋哲哉(哲学)、中島隆博(中国文学)、北川東子(ドイツ哲学)、石黒ひで(英文学)等の諸氏であり、四人は「東京大学共生のための国際哲学交流センター」の下で、「戦争、法、暴力」という主題のプロジェクトを推進しており、その一環として李泰鎮教授を招請したとのことである。 この講義は六回に分けて行なわれたが、本の最後に「特別講演 東アジアの未来――歴史紛争を越えて」が掲載されている。氏が語った主題は「近代日韓関係史における法と暴力」というもの