紙面で読む「戦後日本の『物語』を再検証したい。都合のいい物語を流布させることが、権力の源泉ですから」=西田裕樹撮影 白井聡さん=西田裕樹撮影 白井聡さん=西田裕樹撮影 「新しい国へ」「グレートリセット」と語気を強める政治家が拍手を浴びる、戦後68年目の夏。私たちは「何か」を、なかったことにしたがっているようだ――いったい、何を? そして、なぜ? 戦後日本が大切に紡いできた「平和と繁栄」の物語の読み直しに挑んでいる、社会思想史家の白井聡さんに聞いた。 ――歴史認識をめぐって、みんなが言いたいことを言うようになっています。「タガが外れた」感がありますが、これまで何が、日本社会のタガとなっていたのでしょう。 「それは、戦後日本を象徴する物語たる『平和と繁栄』です。『中国や韓国にいつまで謝り続けなきゃならないのか』という不満に対して、『これは遺産相続なんだ』という説明がされてきました。遺産に