こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。何を以て、良書とするか。その基準は人それぞれにいろいろあるでしょう。私がそのひとつとしてあげたいのは、読んだ後しばらくしてから「そういえばあの本にあんなこと書いてあったよな」と思い出すかどうか。それだけ深く本の内容が記憶に刻まれたという証拠ですから。 そんな一冊が、ウィリアム・マッカスキルさんの『〈効果的な利他主義〉宣言! 』(みすず書房)。だいぶ前に図書館で読んだので手元にはないのですが、ニュースなどを見てるときに、ふと思い出すことがあります。 本の主張を簡単にまとめると、「寄付をするなら、本当に相手にとって効果があるかどうかを確かめてからやれ」。寄付に限らず、ボランティア活動なんかもそうですが、相手のためになる、助けになると思って善意でやったことでも、それが相手に悪影響を与えることも現実にあるんです。だから、善意の行為は投げっぱなし、やりっぱなし