1月26 小口彦太『中国法』(集英社新書) 8点 カテゴリ:社会8点 副題は「「依法治国」の公法と私法」。長年、中国の契約法を中心に研究してきた著者が、中国における具体的な判例に沿いつつ、中国の法の特質を論じた本になります。 判例を中心に法学的な議論がなされているので決してとっつきやすい本ではないのですが、読み進めていくと中国の法、そして政治や社会の原理といったものまでが見えてきて非常に面白いです。 さらに、中国の法制度は欧米流の刑事司法の原則や法の支配、あるいは立憲主義といった考えからは明らかずれている部分があるのですが、その「ずれ」は、実は一般的な日本人にとって比較的受け入れやすい考えでもあり、欧米で発展してきた司法制度そのものがかなり特異なもの(だからこそ貴重)だということが見えてくるような内容になっています。 目次は以下の通り。 序章 私法か公法か、法律認識のギャップがもたらした