最前線はどこであれジレンマに満ちている。出版もそうだ。その最たるものが、本書の主題でもある「ヘイト本」である。ただし本書はこの難問を評論や研究のように語るのではない。徹頭徹尾、書店という現場の最前線から考え抜く。ここに本書の固有性がある。ヘイト本とは特定の属性をもつひとびとにたいし、差別や偏見を煽(あお)りつつ攻撃し、その排除を唱える書物のことだ。問題だらけであるにもかかわらず、いまだ量産され
本書は、国際社会における米国の「パワー」の源を、「開かれた市場」の背後に存在する目に見えない権力という視点から分析した意欲作である。近年、米国は、軍事力や経済力といった見かけ上のパワーでは相対的な地位を低下させている。それでも米国は、金融、情報通信、知的財産など、グローバル経済を支える地下の機械装置に圧倒的支配力を持つことで世界の超大国として君臨し続けている。グローバル社会では、サプライチェー
今こそ読みたい、平和のための経済論 「過剰な制裁が、新たな戦争を生み出す」 100年前、憎悪へ突き進む世界に警鐘を鳴らした 20世紀最高の経済学者・ケインズの傑作が復活! 山形浩生氏「ずいぶんきな臭い時代になってきた現在、本書をきっかけに少しでも戦争/平和と経済についてまじめに考えてくださる方が増えてくれることを祈りたい」ーー「訳者解説」より 〈本書の背景〉 1919年、経済学者にして官僚でもあるジョン・メイナード・ケインズは、 第一次世界大戦後のパリ講和会議にイギリス代表団の一員として参加した。 しかし、ドイツへの過剰な制裁を課す議論の方向性とヴェルサイユ条約の、 あまりのひどさに絶望し、辞表をたたきつけて、即座に本書を書き上げた。 〈なぜ今、読むべきなのか〉 世界的なベストセラーとなり、ケインズの名を一躍押し上げた本作は、 「ナチスの台頭」「第二次世界大戦開戦」を予言した書としても知ら
紹介 人はなぜ人を殺すのか? そしてなぜ悲しむ人に寄り添うのか? 善悪の分岐点を探る 人間は戦争や暴力のような「最悪の行動」と、協力や利他といった「最善の行動」のどちらも選択しうる。その善悪を分けるものは何か? 上巻では、ある行動の瞬間から、その一秒前に脳内で起こっていること、数秒から数分前の感覚刺激、数時間から数日前のホルモンの状態……と時間を遡り、行動を決定する要因を探る。マッカーサー基金を受賞したスタンフォード大学の天才教授が、脳神経系の働きから行動の進化までさまざまな分野の知見を駆使し、人間行動の根源に迫る壮大な旅! 序章 第1章 行動(本書の問題意識) 第2章 一秒前(神経生物学) 第3章 数秒から数分前(動物行動学) 第4章 数時間から数日前(内分泌学) 第5章 数日から数か月前(ふたたび神経生物学) 第6章 青年期――おい、おれの前頭葉はどこだ?(脳科学) 第7章 ゆりかごへ
ゴールデンウィークですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。バイデン大統領の発言をきっかけに、移民をめぐる議論が盛り上がっていますね。 アメリカのバイデン大統領がイベントの中で「なぜ日本は問題を抱えているのか。それは彼らが外国人嫌いで移民を望んでいないからだ」と発言したとロイター通信などが報じましたhttps://t.co/VYdGhKchi4#nhk_video pic.twitter.com/00xc3im6wC — NHKニュース (@nhk_news) 2024年5月2日 内輪の支持者の前の発言とはいえ、外国人嫌いの国の一つとして同盟国である日本をわざわざあげなくてもよかったのではないかというのは普通の感想でしょう。バイデン大統領は自国の移民受け入れの伝統を讃えるのに、外国をけなす必要はありませんでした。日本は最近移民の受け入れを少しずつ増やしていますし、当然ですが外国人嫌いでない人も
ISBN: 9784334100599 発売⽇: 2023/09/21 サイズ: 21cm/643,55p … 「万物の黎明」 [著]デヴィッド・グレーバー、デヴィッド・ウェングロウ 数年に一度、人類史の全体像を提示する本が現れ、国際的なベストセラーとなることがある。原書が2年前に英語で刊行された本書も、その一冊だ。副題を見て『サピエンス全史』のような本を思い浮かべるかもしれないが、その印象は裏切られるだろう。人類学者と考古学者の手で書かれた本書は、このジャンルの前提に正面から挑戦する。 その前提とは、人間社会が一定のパターンに沿って進化するということだ。典型的には、小規模で平等な狩猟採集社会が、定住農耕による生産力の向上を経て、階級格差を伴う大規模な国家へと発展する。 本書によれば、こうした思考は西洋人の偏見にすぎない。近年の考古学は、農耕が始まる前に巨大な都市が築かれたことを示す遺跡な
著者:ハーラン・エリスン翻訳:若島 正,渡辺 佐智江出版社:国書刊行会装丁:単行本(368ページ)発売日:2019-05-24 ISBN-10:4336053235 ISBN-13:978-4336053237 アメリカSF界のレジェンド、ハーラン・エリスン。『世界の中心で愛を叫んだけもの』や『死の鳥』で知られるカリスマSF作家の、犯罪小説やハードボイルドを中心とした非SFジャンルの初期傑作を精選した短篇集『愛なんてセックスの書き間違い』の魅力を、本書の翻訳者若島正氏によるあとがきから抜粋してご紹介します 「愛」なんて「セックス」の書き間違い!?本書『愛なんてセックスの書き間違い』は、ハーラン・エリスンの短篇集Love Ain’t Nothing But Sex Misspelled を元にしながら、編者(若島)が独自に編み直した、エリスンの非SF系の初期短篇集である。 Love Ain’
紹介 【どこにでもある「インドカレー店」からみる移民社会】 いまや日本のいたるところで見かけるようになった、格安インドカレー店。 そのほとんどがネパール人経営なのはなぜか? どの店もバターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンといったメニューがコピペのように並ぶのはどうしてか? 「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか……その謎を追ううちに見えてきたのは、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさと、海外出稼ぎが主要産業になっている国ならではの悲哀だった。 おいしさのなかの真実に迫るノンフィクション。 【目次】 はじめに 「ナン、おかわりどうですか?」 第一章 ネパール人はなぜ日本でカレー屋を開くのか 第二章 「インネパ」の原型をつくったインド人たち 第三章 インドカレー店が急増したワケ 第四章 日本を制覇するカレー移民 第五章 稼げる店のヒミツ
まじめにエイリアンの姿を想像してみた 作者:アリク カーシェンバウム柏書房Amazonこの『まじめにエイリアンの姿を想像してみた』は、書名だけみると小学生ぐらいの夏休みの自由研究みたいだが、実際は動物学者の著者が、生物学、物理学など科学の知識を総動員して「地球外生命体の機能や生態はどのようなものでありえるのか? 逆に、どのようなものではありえないのか?」を考えていく一冊になる。 化学の本や生物学の本で、一章ぐらいこのテーマに割いている本は少なくないが、まるまる一冊地球外生命の生態を考察している本は珍しい。そもそも、「地球外生命体って、誰も見たことがないんだから想像しようがなくない? ソラリスの海みたいなやつだっているかもでしょ」と疑問に思うかもしれないが、世界は物理法則に支配されているわけで、この宇宙の生き物である以上、制約から逃れることはできない。 地球には現状、空を飛ぶクジラのような、
2024年12月に発売された『慰安婦性奴隷説をラムザイヤー教授が完全論破』。高橋洋一氏、福井義高氏推薦 韓国と米国左派に執拗に攻撃され、生命の危険にもさらされたハーバード大学ラムザイヤー教授。戦前日本の娼婦と戦時の日本軍慰安婦の雇用契約に関する4本の論文を1冊にまとめ、根拠なき日本非難に終止符を打つ。 ラムザイヤー教授は戦前日本の娼婦の契約形態に関心を持ち、売春宿と娼婦(と親)の「信用の供与」や「契約の合理性」のメカニズムを発表したのが1991年。その論文『戦前日本の年季奉公契約による売春制度――性産業における「信用できるコミットメント」』は日本人の研究者にもあまり知られることなく時が過ぎた。 ところが、2020年に『太平洋戦争における性サービスの契約』を発表した途端、“反響”があった。韓国や米国の日本研究者たちが一斉に教授を攻撃し始めたのである。「論文を撤回せよ」「教授を辞めろ」など罵詈
紹介 NHK「コロナ危機 未来の選択」出演で大反響! 「資本主義の未来を築くリーダー25人」(WIRED誌)選出 「ビジネス界の最もクリエイティブな50人」(Fast Company誌)選出 「英国で最も影響力のある50人」(GQ誌)選出 「世界でもっとも影響力のある経済学者の一人だ。マッツカートの資本主義修復計画に、私たちは耳を傾ける時期に来ている」 ――WIRED誌 行き過ぎた新自由主義による「スタートアップ盲信」「民営化盲信」の時代は終わった。これからは国と企業が手を取り合い、万人のウェルビーイングからSDGsまで巨大なミッションを掲げ、経済を成長させながら「公共の目的(パーパス)」をかなえていく時代だ。それこそが「新しい資本主義」の姿である――。 スウェーデン、ノルウェー、イタリア、南アフリカ、アルゼンチンなど各国首脳の経済政策顧問を務め、ビル・ゲイツ、ローマ教皇、トップCEOらに
紹介 本邦初のシギント入門書!!シギントを知らずして、国際情勢は語れない! ※シギント(SIGINT: signals intelligence)とは、通信、電磁波、信号等など傍受を利用した諜報・諜報活動。 盗聴、ハッキング、国益を賭けた戦いの世界【インテリジェンス・ウォー】 繰り返す、これは架空【フィクション】ではない! 〈救国シンクタンク「国家防衛分析プロジェクト」企画〉 ヒューミント、シギント、イミントの三分野を現場で体験した元警察官僚、元内閣衛星情報センター次長 茂田忠良。 麗澤大学客員教授。情報史学研究家。2023年フジサンケイグループ第39回正論大賞受賞 江崎道朗。 今、最も日本に欠けているインテリジェンス能力を徹底討論。 ◆スノーデン漏洩資料の徹底分析!見習うべきはアメリカのシステム ◆インテリジェンス能力がなければまともな反撃など不可能 ◆「世界最強のシギント機構」UKUS
紹介 気候変動は憂慮すべき問題である。と同時に、好奇心をかきたてる事象でもある。 気候変動が環境を激変させている現在、生物はこの危機にどう対処しているのだろうか? 温暖化に直面したクマはサケを食べる行動を変え、イカは小さいサイズで成熟するよう変化し、トカゲはハリケーンのときに木にしがみつけるように指を変化させた。生物は座して絶滅を待つのではなく、多彩な戦略を駆使して生き延びているのだ。 ストーリーテラーとして定評のある生物学者が、柔軟に変化する動植物の姿を通して、気候変動にどう向き合うべきかを教えてくれる、危機と希望の物語。 【本書への推薦の言葉】 まさに絶滅が迫っている。だが絶望して嘆く前にこの本を読むべきだ。いつでもそうであるように、生物は新たな道を見つけている。 ――ダン・フローレス(作家・歴史家、モンタナ大学名誉教授) 地球温暖化の生物学に関する非常に重要な考察を、ハンソンならでは
紹介 アメリカのアジア戦略の起源とは? アメリカは大日本帝国の台頭にどう向き合ったのか? ソ連と対峙するまでの大戦略を描く! 海に囲まれたアメリカにとって、アジアは決して海の向こうの辺境ではなかった。建国直後、アメリカはなぜ太平洋に進出しようとしたのか。そして急速に台頭する日本をどう捉えていたのか。日米同盟が転換する今こそ読まれるべき、戦略の成功と失敗の条件を学べる壮大な歴史書。日本のメディアにも登場する著者が描く大国の大戦略史。 【原著】Michael J. Green, By More Than Providence: Grand Strategy and American Power in the Asia Pacific Since 1783(Columbia University Press, 2017) 目次 日本語版への序文 謝辞 序論 ヨーロッパか、あるいはアジアか 大陸か
紹介 インドに根付く社会的な身分制=カースト。数千年の歴史のなかで形成され、結婚・食事・職業など生まれから規制し、今なお影響を与え続ける。カースト問題には、「不浄」とされ蔑視が続く最底辺の不可触民=ダリトへの差別がある。政府は2億人に及ぶダリトを支援する施策を打つが、その慣習は消えず、移民した世界各国でも問題化している。本書はインドに重くのしかかるカーストについて、歴史から現状まで、具体的な事例を通し描く。 鈴木真弥 (スズキマヤ) (著/文) 鈴木真弥 1976年神奈川県生まれ.東京外国語大学外国語学部南西アジア課程ヒンディー語専攻卒.インド・ネルー大学大学院社会科学研究科修士課程修了.慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程単位取得退学.博士(社会学).日本学術振興会特別研究員(PD),人間文化研究機構地域研究推進センター研究員(東京外国語大学),などを経て.2020年より大東文化
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