アルゼンチンのプレスをモノともせずにボールを引き出し、軽快にさばく。狭いスペースで苦もなく受けて、素早くターンする。敵が1、2mの距離にいても、田中自身にとってはフリーという感覚だろう。 あまりの頼もしさにチームメイトも途中から、まずは田中を見るようになり、敵が近くにいてもボールを預けるようになった。同じピッチに立ったチームメイトから絶大な信頼を勝ち取ったわけだ。 さらに、自らボールを持ち運んで前線に鋭いパスを送り込んだかと思えば、相手選手を潰してボールを刈り取りもした。 「右から行け!」「縦を切れ!」と響く声 だが、それらのプレーと同じくらい際立っていたのが、声である。 会場のミクニワールドスタジアム北九州はサッカー専用スタジアムのため、ピッチとスタンドとの距離が近い。そのうえ新型コロナウイルス感染対策のため、観客の声援が禁止されていたから、ピッチ上の音がよく聞こえてきた。 そのほとんど