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ブックマーク / www.kyoto-u.ac.jp (8)

  • 大地震発生直前に観察される電離層異常発生の物理メカニズムを発見―地殻破壊時に粘土質内の水が超臨界状態となることが鍵―

    梅野健 情報学研究科教授、水野彰 同研究員、高明慧 同専門業務職員(研究当時)らの研究グループは、大地震発生直前に観察される電磁気学的異常を地殻破壊時の粘土質内の水が超臨界状態であることにより説明する物理メカニズムを発見しました。今まで、2011年東北沖地震、2016年熊地震などの大地震発生直前に震源付近の電離層上空に異常が観測されたことが報告されていましたが、なぜ大地震発生直前の電離層に異常が生じるかを明確に説明する物理モデルの報告はなく、幾つかの仮説が提唱されているのみでした。 研究グループは、プレート境界面には、すべりやすいスメクタイトなどの粘土質が存在し、その粘土質の中にある水が地震発生前の高温高圧下で超臨界状態となり、電気的な性質が通常の水と異なり絶縁性となり、電気的特性が急に変化することで電磁気学的異常が生成することを初めて提案し、電離層への影響を大気の静電容量によりモデル

    大地震発生直前に観察される電離層異常発生の物理メカニズムを発見―地殻破壊時に粘土質内の水が超臨界状態となることが鍵―
  • 直下型地震と地下水位変動の関係の解明 ―地下水位は地殻歪みを感知するセンサーとして機能―

    駿 総合生存学館博士課程学生、小池克明 工学研究科教授、山敷庸亮 総合生存学館教授、嶋田純 熊大学名誉教授の共同研究により、2016年4月に発生した熊地震前後の長期にわたる多地点での地下水位観測データを詳細に分析した結果、地下水位は地殻歪みを感知するセンサーとして機能し、特に主要な帯水層である砥川溶岩での変動が地殻歪みと関連することがわかりました。地下水位データから降水量、気圧、地球潮汐の影響を統計学的に除いた残差成分は、2011年3月東北地方太平洋沖地震後は低下しましたが、2014年頃から上昇に転じたという傾向の変化が見出され、この低下は応力解放、増加は地殻歪みの増大によると解釈しました。熊地域でのその後の2つの地震でも、衛星測位システム(GNSS)による地殻変動と地下水位残差成分変動のパターンが変化する時期が整合しました。帯水層の3次元数値モデルに観測井の分布を重ね合わせたと

    直下型地震と地下水位変動の関係の解明 ―地下水位は地殻歪みを感知するセンサーとして機能―
  • 数理モデルにより感染症伝播を解析 -サンタクロースが病気になると、何が起こるのか-

    古瀬祐気 ウイルス・再生医科学研究所 特定助教は、サンタクロースがクリスマスイブに感染症にかかっていた場合、どれだけの人が病気をうつされるのか差分方程式を用いた数理モデルによって解析しました。 研究では、サンタクロースが子どもたちに病気(インフルエンザと麻疹)をうつす確率を記述し、さらにその結果としてどれほどの被害が人口全体に生じるかをシミュレーションによって解析しました。 解析の結果、インフルエンザについては、サンタクロースと子どもたちとの間での感染伝播効率が「通常の大人から子どもへ病気がうつる確率と同じ」である場合には、流行規模が12%増大することが分かりました。一方で、前者が後者の1%である場合には、流行規模は増大しませんでした。また、麻疹については、前者と後者が同じ確率である場合、100%の確率で大規模な流行が起こりました。一方で、同じく1%の場合には通常の大人によって流行が引き

    数理モデルにより感染症伝播を解析 -サンタクロースが病気になると、何が起こるのか-
  • Sr2RuO4での「パインズの悪魔」の観測 67年前に予言された金属の奇妙な振る舞いの発見

    文および「詳しい研究内容について」(PDF)を一部修正しました。(2023年8月17日) 1956年に米国の理論物理学者デイヴィッド・パインズは、固体中の電子の奇妙な状態を予言しました。通常、電子は質量と電荷を持ちますが、パインズは電子が結合して、質量がなく、電気的に中性で、光と相互作用しない複合粒子を形成できると考えました。彼はこの新しい粒子を「特異な電子の運動をになう粒子」という言葉の頭文字をとって「DEM-on」(悪魔)と名付けました。しかしながら、これまでこの粒子が実際に観測されたことはありませんでした。 この度、前野悦輝 高等研究院連携拠点教授(豊田理化学研究所フェロー)、ピーター・アバモンテ イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校教授らの研究グループは、「パインズの悪魔」が予言されてから67年後、ついにそれを発見しました。物質の電子モードを直接励起する特別な手法を用いて、ス

    Sr2RuO4での「パインズの悪魔」の観測 67年前に予言された金属の奇妙な振る舞いの発見
  • SARS-CoV-2オミクロン株の進化パターンの一端を解明―スパイクタンパク質の収斂進化が適応度の高い変異株の出現に繋がる―

    橋口隆生 医生物学研究所教授、木村香菜子 同助教、高山和雄 iPS細胞研究所講師、出口清香 同大学院生、佐藤佳 東京大学教授らの研究コンソーシアム「The Genotype to Phenotype Japan(G2P-Japan)」は、オミクロン株の進化過程において適応度(流行拡大能力)の上昇に寄与した変異を同定しました。進化系統解析により、様々なオミクロン亜株が、スパイクタンパク質の重要な5箇所のアミノ酸残基において変異を収斂的に獲得していることを明らかにしました。次に、流行モデリング解析により、前述の5箇所の変異(収斂変異)の獲得が、ウイルスの適応度を上昇させることを示しました。さらに、i) 収斂変異を多く獲得した変異株ほど高い適応度を示すこと、ii) 5箇所の収斂変異の獲得により、オミクロン株の進化過程における適応度上昇の大部分が説明できることを示しました。これらの結果は、一見複雑

    SARS-CoV-2オミクロン株の進化パターンの一端を解明―スパイクタンパク質の収斂進化が適応度の高い変異株の出現に繋がる―
  • 有機EL素子の新しい発光機構を提案 -従来、利用できないとされていた電子状態を活用/希少元素は不要-

    佐藤徹 工学研究科准教授、林里香 工学部学生、春田直毅 同博士課程学生(現・東京工業大学研究員)、夫勇進 山形大学准教授らの研究グループは、次世代ディスプレイや照明として期待されている有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子の、従来にない新しい発光機構とこの発光機構を実現するための発光分子の分子設計指針を提案しました。 研究成果は、2017年7月6日午後6時に英国の科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。 研究者からのコメント 研究で提案した発光機構を実現する新規分子骨格の理論設計・合成と素子特性の測定が進行中です。従来の設計指針よりも分子構造に制約が少なく希少金属が不要なため、多様な分子骨格が発光分子の候補となります。今回の提案を踏まえ、より長寿命で低コストな素子の探索を進めていきます。 研究の基礎となっている理論は、分子の励起状態を失活し難くし、 励起

    有機EL素子の新しい発光機構を提案 -従来、利用できないとされていた電子状態を活用/希少元素は不要-
  • 「熱エネルギー」を太陽電池が効率よく発電できる波長の「光」に変換することに初めて成功

    研究は、半導体シリコンを用いた新たな熱輻射制御手法を提示し、その有効 性を示したもので、太陽電池が発電可能な波長の光に熱輻射を集中できます。2006年頃から続けてきた熱輻射制御の研究がさまざまな関係者の努力によって進展し 、ついに熱エネルギーの可視-近赤外光への集中的変換が可能に なったことは大変感慨深いです。 概要 一般に、物質を加熱すると物質内部の電子の熱運動が激しくなり、さまざまな波長の光を放出(熱輻射)するようになります。熱輻射の一種である太陽光も、可視光線だけでなく、紫外線や赤外線などさまざまな成分を含んでいます。一方、一般的な太陽電池が効率よく電気に変換できる光は、太陽光の広い波長成分のごく一部、可視光線と近赤外線の境界付近の光のみで、他の成分は有効に利用できません。そのため、一般的な太陽電池の発電効率は20%前後に留まっていました。 これまで学の研究グループは、熱輻射を自

    「熱エネルギー」を太陽電池が効率よく発電できる波長の「光」に変換することに初めて成功
  • 水も油もよく撥く柔軟多孔性物質「超撥水・超撥油性マシュマロゲル」の開発に成功 - 汚れを寄せ付けない素材として応用に期待 -

    ホーム 水も油もよく撥く柔軟多孔性物質「超撥水・超撥油性マシュマロゲル」の開発に成功 - 汚れを寄せ付けない素材として応用に期待 - 中西和樹 理学研究科准教授、金森主祥 同助教、早瀬元 博士後期課程学生の研究グループは、撥水性表面をもつ柔軟多孔性材料「マシュマロゲル」の細孔表面に撥油性の分子を結合させて表面エネルギーを低下させることにより「超撥水・超撥油性(水滴・油滴とも接触角が150度以上)マシュマロゲル」の開発に成功しました。 研究成果は、独化学誌「アンゲヴァンテ・へミー・インターナショナル・エディション(Angewandte Chemie International Edition)」オンライン版(2013年9月5日)に掲載されました。 概要  撥水・撥油性表面は防汚などの応用面から注目されている性質ですが、そのような表面の作製は容易でなく、表面微細加工技術などを駆使したさまざま

    水も油もよく撥く柔軟多孔性物質「超撥水・超撥油性マシュマロゲル」の開発に成功 - 汚れを寄せ付けない素材として応用に期待 -
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