志賀 旅行業界を20年ぐらいのスパンで見ると、大きなターニングポイントが2回あったのではないかと思います。1991年に起きた湾岸戦争と、2001年に米国で起きた同時多発テロ、いわゆる「9.11」です。これら2つの出来事で日本の旅行業界は大きく変化しました。 湾岸戦争が勃発した時、海外旅行者の数が一気に減った。その数が再び増えていく過程で、旅行のあり方が大きく変わったのです。一言で表現すると「団体から個人へ」という大きな変化が起きた。この変化は今日までずっと続いていて、旅行業界を大きく揺るがしています。湾岸戦争で旅行ブームが落ち込んだわけですが、その時、それまで旅行をしてきた人たちが冷静になって考えてみたのでしょう。湾岸戦争以降は、「別に団体で動かなくてもいい」「自分たちでもっと自由に動き回りたい」と考える人がかなり増えてきた。 戦後、旅行業界は常に右肩上がりに成長を続けてきました。団体旅行