10月下旬、カイロ近郊サッカラで、ワインを飲むプタハホテプ一世。壁画は紀元前2300年代後半ごろとみられる 飲酒を禁じるイスラム教国のエジプトで、栽培から生産まで100%国産にこだわったワインが造られている。主に観光客や外国人向けだが、酒を「ハラーム(禁止)」とする文化の中では、ワイン産業自体が敬遠される存在のはず。しかし、ワインは古代エジプトのファラオ(王)も愛飲した長い歴史があり、いにしえの味を現代に受け継ごうと試行錯誤が続く。(エジプト東部エルグーナで、蜘手美鶴、写真も) 高さ10メートルほどの巨大なタンク十数基が、工場内に所狭しと並ぶ。タンク内では白ワイン「ビューソレイル」が発酵中で、工場長ラビーブ・カラスさん(53)がタンクのコックをひねると、黄みを帯びたワインが勢いよく流れ出てきた。発酵過程のワインは微炭酸を含み、さわやかな味がする。カラスさんは「ワインが生きている証拠。エジプ