(本稿は、コミックマーケット78にて刊行した森瀬の個人サークル誌『夏冬至点』2010年夏号掲載コラムの再掲です。本来、PHP研究所のコミック『狂気の山脈』に寄稿した解説文に含める予定だったものの、ページ数の都合で割愛したテーマを扱ったものとなります。) ドイツ第三帝国を取り巻く、数多くの怪しからん伝説の中に、南極大陸における「ノイシュヴァーベンラント」にまつわるものがある。 連合国にドイツが降伏してから2ヶ月が経過した1945年7月10日、オットー・ヴェルムート艦長指揮下のドイツ海軍の潜水艦U-530がアルゼンチンのマルデルプラータ港に突然、その姿を現した。その1ヶ月後、8月17日にはハインツ・シェファー艦長指揮下のU-977が同じくアルゼンチンに現れる。 ドイツ海軍のU-ボートが南氷洋で活動していることについては、戦時中から幾度か報道されていた。作戦海域から遠く離れた場所で、彼らは一体何