もう77年も昔のことで、今では実際に経験した人も少なくなってしまったが、私にとっては未だに昨日のことのように思い出される。昭和20年3月13日の夜から14日の朝にかけての大阪大空襲のことである。 当時、私は天王寺公園や天王寺駅に近い茶臼山に住んでいた。大阪の前に東京の大空襲があり、一日置いて名古屋の空襲があったので、今度は大阪へ来るぞとの予想はついていた。それだからと言って住民には何が出来るということはなかった。ただ恐れながら待っているしかなかったところに、B29が予想どうりやった来たのであった。 あんなこの世のものとは思えない光景は二度と見られるものではない。見渡す限りの空一面から火の玉が降って来るのである。こんなことを言ったら不謹慎だと言われるだろうが、空全体から花火が降って来るようなものだった。花火なら良いが、やがて、あっちからも、こっちからも火の手が上がって大火事となった。 最早バ