北朝鮮は平昌冬季五輪に乗じ、韓国との融和ムードを演出する。「平和を好む正常国家」である点をアピールし、国際社会による経済制裁の包囲網に風穴を開ける--周辺国は北朝鮮の意図をこう読み解く。制裁で疲弊し切った経済を北朝鮮はどう立て直そうとしているのか。そのヒントとなる動きが4年数カ月前にあった。 北朝鮮の最高学府、金日成(キム・イルソン)総合大学の講義室に、この国では決して公言してはならない言葉が響いた。「国を動かすということは、必ずしも政治指導者だけがやることではない。市民が参加し、動かすことができる」「いかなる暴政も永遠には続かない」 2013年10月31日、発言者は当時のモンゴル大統領、エルベグドルジ氏だった。金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長の招きで訪朝していた。滞在最終日、希望が受け入れられ、総合大で講演することになった。