実店舗の現場で生成AI(人工知能)を活用できるのは、「対顧客」の局面だけではない。“バックヤード(裏庭)”でこそ力を発揮する使い方もある。その代表例が、一般社団法人リテールAI研究会(東京・千代田)が作成・推進し、2023年10月から本格的に稼働し始めた業界共通商品マスター「J-MORA(ジェイモーラ)」だ。生成AIが小売りのバックヤードをどう変革するか追った。 従来、日本の小売りの店頭に並ぶ商品については、メーカー、卸、小売りがバラバラに、商品マスターと呼ばれるデータベースを作成・管理してきたのが実情だ。 データベースにほぼ同じ内容を重複して登録する必要がある 例えば、あるメーカーは自社の商品マスターに登録した商品の情報を、取り扱ってくれる卸の商品マスターのフォーマット向けに“打ち直して”送付する。卸は送られてきた情報に卸として必要な要素を加えて自社商品マスターに登録し直し、今度は取引の