東北大学は、多数の水素が結合した高水素配位錯イオン(クラスター)に生じる擬回転を利用した「室温超イオン伝導の新たな発現機構」を発見した。水素化物を固体電解質に用いた全固体二次電池の開発に弾みをつける。 活性化エネルギーが小さい遷移金属錯イオンに注目 東北大学金属材料研究所の高木成幸准教授と同大学材料科学高等研究所の折茂慎一所長らによる研究グループは2020年4月、多数の水素が結合した高水素配位錯イオン(クラスター)に生じる擬回転を利用した「室温超イオン伝導の新たな発現機構」を発見した。水素化物を固体電解質に用いた全固体二次電池の開発に弾みをつける。 研究グループは、2017年に発見したMoH9などの高水素配位錯イオンに着目し、研究を行ってきた。この中で、「錯イオンが素早く変形を繰り返し、あたかも高速回転しているように見える『擬回転』を示す」ことや、「擬回転に必要なエネルギーは一般的な回転に