フランスでは、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため3月半ばから厳格な外出禁止令が出されたが、早くも1週間目には家庭内暴力(DV)が約35%増加したという。そんなフランスでは、約2日に1人の割合で、女性が夫や恋人などに殺される“Féminicide(フェミニシッド)”(「女性殺人」の意、英語では「フェミサイド」)が起きており、欧州でも1、2位を争うほど多い。近年、フランスで注目を集めるようになったフェミサイドについて、30年以上フランスに住むジャーナリストのジャーナリスト、プラド夏樹さんがリポートする。 ほかの殺人とは違う「フェミサイド」 筑波大学からフランスに留学していた黒崎愛海さんが2016年から行方不明になっていた事件で7月24日、元交際相手のニコラス・セペダ・コントレラス容疑者の身柄が、チリからフランスに移送された。現地の報道によると、同容疑者は黒崎さんに宛てて「病的な嫉妬心と所有