米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドがサッポロホールディングスに、米シティグループが日興コーディアルグループに―― ここ最近、外資による日本企業のTOB(株式公開買い付け)を実施する例をよく目にする。ライブドア事件の収束でM&A(企業の合併・買収)はブームを終えたように見えるが、M&A仲介のレコフによれば、2006年のM&A件数は2775件と、1日に10件近いペースで行われている。 レコフの資料によれば、これらの件数の大半は国内の企業同士が占めているが、海外の企業が国内の企業を買収するケースも2000年頃から増えている。こうした海外企業による日本企業の買収が増えるのではないかと見られているのが、今年5月1日から解禁される「三角合併」だ。 元々は対価の柔軟化が 三角合併は、厳密には昨年から施行された会社法が1年間先延ばしにしていた「合併対価の柔軟化」
著者プロフィール:保田隆明 やわらか系エコノミスト。外資系投資銀行2社で企業のM&A、企業財務戦略アドバイザリーを経たのち、起業し日本で3番目のSNSサイト「トモモト」を運営(現在は閉鎖)。その後ベンチャーキャピタル業を経て、現在はワクワク経済研究所代表として、日本のビジネスパーソンのビジネスリテラシー向上を目指し、経済、金融について柔らかく解説している。主な著書は「M&A時代 企業価値のホントの考え方」「投資事業組合とは何か」「なぜ株式投資はもうからないのか」「株式市場とM&A」「投資銀行青春白書」など。日本テレビやラジオNikkeiではビジネストレンドの番組を担当。ITmedia Anchordeskでは、IT&ネット分野の金融・経済コラムを連載中。公式サイト:http://wkwk.tv/ブログ:http://wkwk.tv/chou 5月に解禁される三角合併関連の話題が、メディアを
2007年5月からスタートする会社法の「合併等対価の柔軟化」によって「三角合併」という合併スキームが可能となる。「三角合併」とは、買収する会社自身ではなく、その親会社の株式を使った合併である。通常、2つの会社が合併する場合、合併で吸収されて消滅する会社の株主には、合併比率に応じて、存続会社の株式が交付される。それに対して「三角合併」の場合、消滅する会社の株主には、存続会社の親会社の株式が交付される。つまり、消滅会社の株主は、存続会社ではなく、存続会社の親会社の株主になる。 外国企業が自社の株式を対価に日本企業を買収可能に 「三角合併」は日本企業同士でも利用可能である。ただ、一般には、外国企業が日本国内に設立した現地法人を介して日本企業を買収するために利用されると言われることが多い。それは次の事情による。 「三角合併」の最大のメリットとして指摘されるのは、現金を一切使わず株式のみで他の企業を
2007年5月1日から、存続会社の株式ではなく、その親会社の株式を消滅会社の株主に交付する「三角合併」が可能となる。そうした中、3月13日に「三角合併」などの手続の詳細を定める会社法施行規則(案)が法務省から示された。この中で、外国株を対価とする場合であっても、通常の合併等と同様に株主総会の特別決議(原則、出席株主の議決権の2/3以上)とすることが明らかにされた。一部の経済団体による「外国株を対価とする場合(外国会社が国内企業を「三角合併」などで買収する場合)には承認の決議要件を引き上げよ」という要求は受け入れられないこととなりそうだ。 確かに、これらの団体が、被買収リスクにナーバスになる気持ちは理解できないではない。しかし、これらの団体が主張するように、外国株を対価とする「三角合併」は、原則、株主総会の「特殊決議」(議決権を行使できる株主の(人数の)半数以上、かつ、総議決権の2/3以上)
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