『鬼滅の刃』と『嫌われる勇気』 単行本の累計発行部数が1億部を突破した「週刊少年ジャンプ」(集英社)の人気連載『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴)。同作は全国の書店で売り切れ続出、2019年度の単行本売上ランキングでは『ONE PIECE』(集英社)を抑えて1位、2020年に入ってからはオリコン週間本ランキングで史上初となる1~10位を独占する快挙を達成(4週連続)と、まさに「社会現象」となっている作品だ。 物語は大正時代を舞台に、主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)が家族を殺した鬼と戦いながら、鬼と化した妹・禰?豆子(ねずこ)を人間に戻す方法を探すというもの。この一見シンプルな物語が、なぜこれほどにまでウケているのだろうか。 「『鬼滅の刃』には、自己啓発の源流であるアドラー心理学の要素が散りばめられていて、そこが大ヒットの一因となっているのではないでしょうか」 そう分析するのは、産業医の大室正志