高齢化と少子化で、多様化が進む「老後」と「子育て」。そんな時代を象徴するかのように、アラ還(還暦近く)で父となった新聞編集者の中本裕己氏(59)。体力も、将来のお金も、残された時間も「ない」。けれど、おむつ片手に走り回りながら得た気付きや喜びが「ある」。還暦で3歳児パパの「異次元」子育てとは-。 ◇ 上り坂から下り坂に転じようとしていた人生で、こんな〝まさか〟が待っていたとは。コロナ禍の令和2年、結婚9年目にして奇跡的に子宝に恵まれた。不妊治療はしていなかったが、ストレスがかかる職を解かれた直後だった。 喜びも束の間。出産直前の妻は、おたふくかぜから心筋炎による心不全となり、母子が命の危険にさらされる。だが、日本の高度な医療と手厚い看護に助けられ、いまでは家族3人、元気でいられる幸せを噛みしめている。そんな顚末(てんまつ)を綴った『56歳で初めて父に、45歳で初めて母になりました』(ワニ・