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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (44)

  • ファンタジーの最高傑作『氷と炎の歌』

    夢中にさせて寝かせてくれず、ドキドキハラハラ手に汗握らせ、呼吸を忘れるほど爆笑させ、ページを繰るのが怖いほど緊張感MAXにさせ、いしばった歯から血の味がするぐらい怒りを煽り、思い出すたびに胸が詰まり涙を流させ、叫びながらガッツポーズのために立ち上がるほどスカッとさせ、驚きのあまり手からが転げ落ちるような傑作がこれだ。 この世でいちばん面白い小説は『モンテ・クリスト伯』で確定だが、この世でいちばん面白いファンタジーは『氷と炎の歌』になる。 書いた人は、ジョージ・R・R・マーティン。稀代のSF作家であり、売れっ子のテレビプロデューサー&脚家であり、名作アンソロジーを編む優れた編集者でもある。 短篇・長編ともに、恐ろしくリーダビリティが高く、主な文学賞だけでも、世界幻想文学大賞(1989)、ヒューゴー賞(1975、1980)、ネビュラ賞(1980、1986)、ローカス賞(1976、1978

    ファンタジーの最高傑作『氷と炎の歌』
    scorelessdraw
    scorelessdraw 2022/11/19
    GoT、後半の北の壁行のメンバーが「こいつらがここに揃ったか!」感があって最高なんだけどすぐに終わっちゃったり、あの人物が意外にあっさりアレしちゃったりで、終い方を急ぎ過ぎたのがちょっと。それでも面白いが
  • この本がスゴい!2016

    人生は短く、積読山は高い。 せめては「死ぬまでに読みたいリスト」を消化しようとするのだが、無駄なあがき。割り込み割り込みで順番がおかしくなる。読了した一冊に引きずられ、リストは何度も書き直される。 重要なのは、「あとで読む」は読まないこと。「あとで読む」つもりでリツイート・ブックマークしても読まないように、あとで読もうと思って読んだ試しはない。だから、チャンスは読もうと思ったそのときしかない。実際に手にとって、一頁でも目次でもいいから喰らいつく。勢いに任せて読みきることもあれば、質量と体力により泣く泣く中断するもある。かくして積読山は標高を増す。 ここでは、2016年に読んだうち、「これは!」というものを選んだ。ネットを通じて知り合った読書仲間がお薦めするが多く、それに応じてわたしのアンテナが変化するのが楽しい。わたし一人では、数学経済学歴史学、進化医学や認知科学の良を探し出せな

    この本がスゴい!2016
  • 白痴化する老人、無教養のサラリーマン、そして、あつかましい若者たち

    どうやら、一億総「無脳」化の時代らしい。自己中心主義で、感情だけで脊髄反射する、老人、若者、サラリーマン――どこにも知性や教養が見えない。美しい日語が失われ、このままでは日はおかしくなってしまう。 たとえば、老人は、1日にどれくらいテレビを見ているか? ある調査によると、65歳以上の老人の実に8割が、1日に9時間ものあいだテレビを見ていることが分かった。1日9時間!これはあまりにも長すぎる。テレビばかり見ていると、想像力や思考力が低下してしまうという「一億総白痴化」によれば、老人の白痴化は粛々として進んでいるといえる。 そして、社会を担うサラリーマンの教養はどうだろう? 日のサラリーマンが、1年間に自分で買って読むの数は、単行がたった3冊、週刊誌が12冊だそうな。これが1年間の読書量なのだ。あとはせいぜい会社から与えられた仕事の資料ぐらいしか読まない。これでは蓄積どころか、頭のほ

    白痴化する老人、無教養のサラリーマン、そして、あつかましい若者たち
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    scorelessdraw 2009/04/19
    これは懐かしい。さぁ書きなさい
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: だめな国は何をやってもだめ「最底辺の10億人」

    「だめな奴は何をやってもだめ」という箴言は、国にもあてはまるのかもしれない。 すなわち、「だめな国は何をやってもだめ」。国家まるごと腐りきっており、大統領から警官まで賄賂と蓄財に勤しむ。国家経営は破綻し、令状のない逮捕、裁判のない拘留、嘘選挙がまかりとおる。行政機関は国家資を強奪するために存在し、軍部の武器は国内に向けられている。 まず、資が流出し、次に教育のある労働力が逃げ出す。大統領命令でお札を刷りまくり、「超」のつくハイパーインフレになる。援助は指導者の蓄財にまわされ、海外の銀行に貯め込まれる。社会資として回転しないから、経済の発展もない(アフリカ最貧国の指導者の多くは、世界でも超富裕階級に属している)。 そして、外からの非難に対し、大統領は「レイシスト」だと反撃する。国家の荒廃は「元」宗主国の陰謀だと断じ、仮想敵をつくりだすことによって自分への不満をすりかえる。結果、部族間の

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: だめな国は何をやってもだめ「最底辺の10億人」
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: モンスターペアレントはどこにいるのか?

    モンスターペアレントはどこにいるのだろうか? 新聞やテレビでは、おどろおどろしい「モンスター」が解説されている。神聖なる教育現場に怒鳴り込み、執拗に要求をくり返し、教師をノイローゼに追いやる「モンスター」たち。 しかし、幸か不幸か、わたしの身の回りではぜんぜん聞かない。学校や園、地域の集まり、隣近所の立ち話など、けっこう首を突っ込んでいるが、一度として「そういう親」を見聞きしたことがない。 こういう場合のオチは、「モンスターは、実はわたしだった!」がよくあるパターン(「ゾンゲリア」パターンですな)―― ハッ!もしやわたしが「痛い親」なのかも、と不安になる(小心者なので)。 煽られっぱなしもイヤなので、少し調べてみた。教師と親との確執ってやつを。 2008 「モンスターペアレント」 「モンスターペアレントの正体」(山脇由貴子、2008)によると、モンスターペアレントとは、クレーマー化した親た

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: モンスターペアレントはどこにいるのか?
  • 「プロジェクト・ブック」はスゴ本

    建築デザイナー向けだが、システム屋のわたしにも効果大のスゴ書は、建築タイポロジーの解説ではないし、建築デザイン・テクニック集でもない。仮に書が建築デザインについての形式論・類型論だったなら、わたしにとって、何の役にも立たないだろう。 しかし、デザイナーとしての才能やテクニックに関係なく、つくるキモチに焦点を当てている。たとえば、場のつくりかた、発意の仕方、他者との共有方法を理解することで、どういう瞬間にプロジェクトが「まわって」いるかを感じとれる。いちいち具体的で、かつ、そのままITプロジェクトにハマる。 デザインプロジェクトに効く63のキーワードと、現場の会話ログを追いかけるうちに、プロジェクトを「まわす」のに建築もシステムも大差なく見えてくる。つくる「モノ」は違えども、つくる「コト」は同じなのだから。 ■1 場所をつくる 大きなテーブル、広い壁、ライブラリー、気持ちのいい椅子

    「プロジェクト・ブック」はスゴ本
  • 人と人をつなぐ技法「チームビルディング」

    「チームはできるものではなく、つくるもの」。この視点はありがたい。チームをまとめる立場なら、この視点+技法は必須。プロジェクトチームから町内会まで使える。 好むと好まざるとにかかわらず、社畜でいるかぎり、三十路も後半になると、一匹オオカミでいさせてくれない。「面倒みてやれ」という暗黙のメッセージとともに、何人か付けられる。たいていは、数回の毎朝ミーティングでチームらしくなってくる。 これが10人、20人のプロジェクトチームになると話が違ってくる。さらに、「思惑」「肩書」パラメータが追加されると厄介だ。以前のわたしは、アイスブレイクをいくつかと、赤ちょうちんぐらいしか知らなかった。仕事を通じてチームは形成されるものだと思っていた。 ところが、書では、チームをつくる方法があるという。短期間で活性化したチームとして機能させるためのメソッドが紹介されている。[アジャイルレトロスペクティブズ]がチ

    人と人をつなぐ技法「チームビルディング」
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 見えない仕事がイノベーションを起こす「シャドーワーク」

    「シャドーワーク」について、豊富な実践例+網羅的な考察をした一冊。ヒット商品やイノベーションの陰には「シャドーワーク」が必ず存在する。ルーティーンワークからの変革なんてありえないし、創造的な価値は管理者の目の届かないところから生まれる。これはわたしのような兵隊ではなく、人事部の将校クラスが肝に命じておくべき。 「シャドーワーク」とは、通常業務から外れた、個人の自主的な意志と裁量で創造的に編み出した仕事のこと。仕事そのものへ結びつかないまでにしても、その準備活動も含まれる。いわゆる「やってみなはれ」「渦は自分で起こせ」というやつ。 たとえば、日産の例。新型マーチのコンセプトづくりにあたり、設計開発ラインの「外」で「こっそり」人を集め、意見を出し合う。あるいは、リコーの場合。GR DIGITALの専用Blogを提供するにあたり、「業務外で」「手弁当で」組織横断的に立ち上げる。仕事として「決まっ

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  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: チームリーダーは「アジャイルレトロスペクティブズ」から盗め

    「なんで、こんな非効率なやり方なんだ?」この疑問、よくあるどころか毎日だ。 たとえば、情報がうまく共有されていないとか、ある人がボトルネックになっているとか。不平を言うと「じゃぁオマエがやれ」と押し付けられるので、最近では不言実行で最適化を図っている[参考]。 あるいは、評論家になっていっぱしのクチをきくが、現場を変える努力も勇気もないくせにブログで薀蓄たれ流す。ネット弁慶カッコワルイ(誰とはいわんが、わたしも含まれるので自戒)。 たしかに、「前と同じやり方」で仕事は回るが、「やり方」が改善されないまま。成果物はレビューされるが、仕事のプロセスはレビューされない。かくして非効率性は引き継がれ、不満は澱のように溜まってゆく。 こいつをなんとかする試みが、「アジャイルレトロスペクティブズ」。舌噛みそうな名前で、サブタイトルの「『ふりかえり』の手引き」というほうがピッタリだね。 つまり、プロジェ

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  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: プロジェクトを成功させる魔法の言葉

    あいにく銀の弾丸の持ち合わせはないが、うまくいくプロジェクトでよく使われていた言葉は確かにある。耳にしたときは聞き流していてた言葉を、このは思い出させてくれた。ここでは、そんな「魔法の言葉」を紹介する。 ネタ元は「目標を突破する実践プロジェクトマネジメント」。ふつう、図書館で読んだはそれっきりだが、こいつは買って周りにばら撒く。薄くて分かりやすくて、すぐにやってみようという気にさせるところがいい。 ■ もし、問題があるとすれば、それは何ですか? 朝会や進捗会議で「何か問題はありませんか?」という質問はよくするしされる。けれども答えはいつも決まっている→「特にありません」。でもって、不具合が起きると、「あのとき聞いたのにッ」←→「こうなるとは思ってなかった」となる。 身に覚えない? これを、冒頭の質問にしてみると、アラ不思議、いくらでも出てくる。「問題ない?」には無反応だったのが、「これ

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: プロジェクトを成功させる魔法の言葉
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 日本のプログラマは、世界一優秀である

    じゃ、なぜ優秀なプログラマがいる日のソフトウェアビジネスがパッとしないの? 答:それは品質重視の工場型モデルを(相も変わらず)採用しているからにほかならない。「良いものを作れば売れる」主義を信奉するあまり、ビジネスの質から離れてしまっているから。 例えば、欧州企業にとってソフトウェアは「科学」として扱われる。コンピュータサイエンスとしての「ソフトウェア・ビジネス」であるがゆえに、形式的手法やオブジェクト指向分析・設計手法が重視される。また、米国企業にとってソフトウェアは「ビジネス」そのものとして扱われる。会社をつくって「まぁまぁ良質」の製品を作り、業界標準を打ち立て、その過程で大儲けしようとたくらむ。 しかし、日企業にとってソフトウェアとは「工場出荷製品」そのもの。文字通り「ソフトウェア・ファクトリー」を目指している。標準化された設計開発工程に則り、仕様からほとんどブレない製品を粛々

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 日本のプログラマは、世界一優秀である
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 赤ちゃんの値段

    「ごめんなさい、当にごめんなさい」──望まない妊娠の果てに売られていく子どもたち。日→外国の話。日人の赤ちゃんの相場は200~500万円とのこと。無料で譲っている「産院」もあれば、暗にマージンを要求する「業者」も確かに存在する。 「赤ちゃんの値段」をキーワードとしたルポルタージュで、養子縁組の話に限定されていない。ebay で「今月産まれる赤ちゃん売ります」に1,200万の値がついたことも書いてあるし、望まれない妊娠をヤミ堕胎(自由診療)で荒稼ぎしていた産院が、中絶胎児を一般ごみとして捨てていて、産廃処理法違反の話もあった。 赤ちゃん市場において、最大の輸出国は中国であることは、一人っ子政策の[B面]を想像すれば予想がついていたが、最大の輸入国は、やっぱりというかなんというかアメリカだった。中華女児→American Girl ちうわけね。 翻って日。あっせん業者の言い分だと「子ど

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 赤ちゃんの値段
  • あなたのマンションが廃墟になる日

    巷を騒がせている耐震偽装設計は決してヒトゴトではないのだが、『犯人』は特定されており、司法での決着を待つ状況に至っている。 わたしはあまのじゃくなので、むしろ4年後に直面する問題をいま知っておきたい。なぜなら、問題が深刻化するころは、『犯人』はとうに去っており、引き継いだ当事者は被害者ヅラをすること必至だからだ。永住するつもりで購入したマンションが、ローン完済時に住めなくなる可能性に警鐘を鳴らす「あなたのマンションが廃墟になる日」は、非常に参考になった。 総務省の調査では住宅のサイクル年数は30年(木造は26年)だそうな。国土交通省が2002年に公表した事例では「老朽化」で再建されたマンションの平均築後年数は37年となっている。これに比べて、欧米の住宅サイクル年数は、 イギリス141年 アメリカ103年 フランス86年 ドイツ79年 なぜ日の鉄筋コンクリートマンションは30年少々で壊され

    あなたのマンションが廃墟になる日
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: この本がスゴい2006

    今年は沢山の収穫があった。 自力で見つけた作品よりも、他力―― このblogが縁で知ったのほうが、はるかにスゴいものだった。コメントやトラックバックを通じてオススメしていただいた方、はてなの質問に回答していただいた方、わたしのエントリにケチつけたついでに「○○も読んでないくせに」と嘯いた方―― 皆さまに感謝、感謝。 そんな中でも選りすぐりを10選んだぞ。どれも自信を持ってオススメするが、「劇薬小説」だけは覚悟完了の上でどうぞ。これからも、「自分にとって高品質の情報を得るためには、自分から発信すること」を実現する場として、ここを使っていきたいですな。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 徹夜小説:あなたの健康を損なうおそれがありますので読みすぎに注意しましょう ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 大聖堂(ケン・フォレッ

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: この本がスゴい2006
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    scorelessdraw 2006/12/24
    理由
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 劇薬小説【まとめ】

    はてな「読後感サイアクの小説を教えてください」で教えていただいたものを、読んできた。質問[ここ]からピックアップしている。過去のエントリ「劇薬小説を探せ!」を元ネタにして、これまで読んできた劇薬小説をまとめてみる。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 劇薬小説とは 読了して後味の悪い思いをした小説を指す。読んだことを激しく後悔するような、いやあぁぁぁな気分にさせてくれる。下らなくて情けなくなる「壁投げ」ではない。また、マンガを含めると莫大になるので、対象外とする(ちなみに劇薬マンガNo.1は日野日出志「地獄の子守唄」)。 エロだったりグロかったり、救いがなかったり 大の大人なのに怖くて夜に読めなかったり 読了してヘコんだり、生きる気力が奪われたり 生理的にクるものに、おもわずマジ嘔吐したり その後、人生のトラウマと化したり 小説はしょせん絵空事。リアルで

  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 名著!「デッドライン」

    長くなりすぎたこのエントリのレジュメ …というか、見出しの一覧。これ見てご興味ある方はお読み下さいませ。 マネジメントの4つの質 マネジメントおける簡潔で痛切なエッセンス(一部) 設計とデバッグに関する恐ろしい事実 残業と生産性とプレッシャーに関する恐ろしい事実 生産性の測定について 管理者の怒りについて 会議を効率よく行うための、たったひとつの冴えたやりかた 大事なことが、ずばり書いてある。背中を押したのは「ソフトウェア開発の名著を読む」なんだけど、確かに名著だ。初読は物語を楽しみ、再読、再々読で血肉にすべきだな。 延ばし延ばしにしてた一冊を読み始めて「どうして今まで読まなかったんだあぁぁっ」と叫びだすような逸品がある。書がまさにそう。デマルコは「ピープルウェア」がピカイチと決め付けてた自分が恥ずかしい。 「ピープル」がプログラマ・チームリーダーの視点で書いているが、「デッドライン」

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 名著!「デッドライン」
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: ローマ人の物語I「ローマは一日にして成らず」の読みどころ

    知力ではギリシア人に劣り、体力ではガリア人に劣り、技術では、エトルリア人に劣り、経済力では、カルタゴ人に劣るのが、ローマ人。そんなローマがなぜあれほどの権勢を長期にわたって誇ったか――これこそ、塩野氏が書を書いたテーマだという。これは、読み手であるわたしも同じ。 ローマの強さ。しかも一過性の強さではなく、時代をかさねても継続的に続くものが何であるかを考えさせられる。「強さ」と聞くと、思わず「頑丈」「頑強」と思い浮かべる。何事もシステマティックに進めようとする気質から、「頑固」「頑迷」なんて言葉も出てくる。 しかし、どうやらそうではないらしい。「ローマは一日にして成らず」を読むと、確かに頑ななところもある一方、柔軟に取り込もうという気風もあったらしい。多神教なんてその最たるもの。ギリシアも日の八百萬神も超え、ローマには門や橋にまでカミサマがいたそうな。 そこで一番笑ったのが「夫婦喧嘩の守

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: ローマ人の物語I「ローマは一日にして成らず」の読みどころ
  • 子ども兵──「見えない」兵士たち

    このエントリのまとめ 子ども兵とは、男女問わず18歳未満の子どもの兵士のこと(Child soldier)。その姿は、発展途上国の武力紛争で見られ、物資の運搬や事等の作業のみならず、実際の戦闘、かく乱、誘拐、スパイ活動、さらには自爆テロの弾頭として「消費」される。少女の場合は、兵士に「」として与えられ、性的虐待にあったり、身の回りの世話などをさせられたりすることが多い。 子ども兵は成年兵と比べ安価で使い捨てが可能であり、政府側も反対勢力側も、拉致したり誘拐したり唆したりして、動員する。ただし、各組織は、子ども兵があってはならない存在だと認識しているため、国連やNGOの調査に対して、子ども兵など存在しないと答えており、実態は隠されている。子どもは紛争の中で運良く生きながらえても、成年兵へと姿を変えて見えなくなっていく。 生き長らえる子どもは少数で、命を落とすことによって、文字通りこの世の

    子ども兵──「見えない」兵士たち
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 本ばかり読んでるとバカになる

    の探し方についてのエントリ「を探すのではなく、人を探す」において、「目的を持って読む」と書いたが、具体的に何をどうすりゃいいのか、書いてない。を選ぶまでが前回のエントリなら、ここでは、選んだをどうやって読んでいるかについて、書く。 最初に やはり長くなりすぎたこのエントリのまとめ↓ 読書は他人にものを考えてもらった結果をなぞるだけだから、自分のアタマでものを考えなくなる。そうした受動的な読書を打ち破るために、オキテを作って実践している。 オキテ1:読むだけの読書にしない、オキテ2:読んだら表現する、オキテ3:読んだらフィードバックする、の3つ。その結果、読書の対象に広がりと奥行きと深みが増した。特にオキテ2を強力にオススメする。 まとめ終わり。文どぞ。 ばかり読んでるとバカになる ショウペンハウエルが「読書について」でいいこと言っている。読書は他人にものを考えてもらうこと。だか

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 本ばかり読んでるとバカになる
    scorelessdraw
    scorelessdraw 2006/08/09
    インプットとアウトプット
  • 徹夜本「復讐する海」

    徹夜するほど面白かった小説企画。「徹夜するほど面白かった小説」で知った「復讐する海」を読了、これはスゴい。ありがとうございます、Bさん。 ただし、ボリュームは無いので徹夜するまでもなし。しかも開始早々度肝を抜かれ(予備知識ゼロで手にしたのだ!)→以後イッキ読み→気づいたら終わってた、幸せな読書体験…というのは真っ赤な偽り。 幸せと評したが、マチガイ、 これを読めば地獄体験ができる。 特に、この後に読むの禁止。 さらに、心臓の弱い方もやめておいたほうが吉。 怒ったマッコウクジラに体当たりされ、沈没させられた捕鯨船の話は、『モービィ・ディック』が有名だが、当の悲劇は「白鯨」のクライマックスから始まる。捕鯨船から脱出したのは20名――そのうち、生き残ったのはわずかに8人――赤道直下の太平洋で起きた極限状況を綿密な調査の下に描いたノンフィクション。2000年の全米図書賞を受賞。 紹介文

    徹夜本「復讐する海」