長崎県対馬市の寺から盗まれた県指定文化財の仏像が、韓国で見つかりながら対馬に返還されないでいる。 「仏像はもともと日本に略奪されたもの」という韓国の寺の訴えを受けた裁判所が、日本への返還を差し止める仮処分決定を出したためだ。返還運動は日韓双方で高まっている。近年、日本で盗まれた朝鮮半島由来の文化財が韓国で出てきても返還されないケースが相次いでいる。 この仏像は、対馬の観音寺が所蔵していた「観世音菩薩坐像(ぼさつざぞう)」(高さ50・5センチ)。像内の文書から、14世紀に朝鮮半島で作られたことがわかっている。昨年10月に観音寺から盗まれたが、今年1月に韓国の警察が韓国人窃盗団7人を摘発し、確保していた。 窃盗団は韓国の大田(テジョン)地裁で公判中。坐像は韓国文化財庁が鑑定のため保管しているが、同地裁は2月末、日本側が正当な手段で入手した経緯が証明されるまで返還を禁じる仮処分決定を出した。 菩