軍事研究が、たとえ民生転用可能だとしても、いかに非効率で無駄が大きく、利用しづらく、民主的制御が効かず、要するに国民にとっては悪いことばかりか、ということは、たぶん、科学技術史の研究者がきちんと説明しておくべきことだったのだろう。
軍事研究が、たとえ民生転用可能だとしても、いかに非効率で無駄が大きく、利用しづらく、民主的制御が効かず、要するに国民にとっては悪いことばかりか、ということは、たぶん、科学技術史の研究者がきちんと説明しておくべきことだったのだろう。
戦場で一切疲れも恐怖も感じない兵士。これは近未来のロボット兵士の話ではない。現在、米国防総省の資金提供のもと、生身の人間で実際に行なわれているニューロ・サイエンス(神経科学)の研究だ。「将来、人間の身体と機械が物理的に結合する可能性がある」。そう語る米大統領の生命倫理委員会上級スタッフ、ジョナサン・D・モレノ博士が、近未来兵器「操作される脳」の実態を明らかにする。 * * * 恐怖心のない兵士を作るプロジェクトで、研究者が着目しているのが、心臓病の治療薬として用いられるβ(ベータ)ブロッカー(交感神経β受容体遮断薬)だ。この薬は交感神経のアドレナリン受容体のうち、β受容体のみに遮断作用をするものだが、この薬を服用していると感情が平坦になることが分かっている。そこで暴行被害などで精神的外傷ストレス障害(PTSD)を負った人に、心理療法やカウンセリングと共にβブロッカーを与えることが行なわれる
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