フィリピンでの遺伝子組換え(GM)作物の栽培と研究の現状(3回連載)。今日のGM作物の扱われ方を考える。 GM作物は“悪者”か イザベラ州イラガン市のプレスリー・コルプッツさん、ジョナリンさん夫妻。自分のGMトウモロコシ畑で「今の生活は豊か」と率直に語る。右が「ゴールデンライス」、左が在来種のコメ。 GM作物について日本では否定的な意見が数多く聞かれる。その主張の多くは、「アグリビジネスの多国籍企業に国の農業が支配される」とか「安全性が確認されていない」「生態系を乱す」などとするものだ。 まず、アグリビジネスの支配云々は本来、安全性とは無関係の議論だ。また、GM作物に反対のグループは安全性に問題があることを示す研究が数多くあると主張するが、GM作物が原因で健康被害が生じたとする信頼に足る研究はこれまで世界中で1件もない。 カーン大学(フランス)のセラリーニ教授が2012年9月、ラットを使い