ジョセフ・ヒース, アンドルー・ポター『反逆の神話:カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったか』栗原百代訳, NTT出版, 2014. 『資本主義が嫌いな人のための経済学』(参考)のジョゼフ・ヒースとジャーナリストのアンドルー・ポターの2004年の共著で、原題は"The Rebel Sell: Why The Culture Can't Be Jammed"である。邦訳の副題を見て、反体制芸術家をコケにする内容かと思ったが、もっと思想寄りの内容であった。 本書は左翼思想を二種類に分ける。社会改良主義とラディカリズムである。前者は、人を組織し、関係者や政治家を説得したりする地道な活動である。場合によっては法律を制定して(例えば環境保護などのため)、自由を制限する必要も出てくる。一方、後者は前者を馬鹿にする。「そんなものは現在の資本主義体制の維持に貢献するだけで、問題の抜本的な解決にな
中世以前、猿は信仰され、また馬の守り神として飼われ、芸も仕込まれた。だが、信仰の零落とともに猿飼は賤視されるようになる。猿まわしを業とした人々はなぜ差別されたのか。地名と… 猿まわし 被差別の民俗学 [著]筒井功 人と猿の関係を解く書物は今までにもあった。猿とは何かを民俗学的に解説する書物も存在する。むろん、芸能民としての猿まわしや猿引きについても、民俗芸能のテーマとして、あるいは差別の問題として書かれてきた。 本書がそれらと何が異なるかというと、一つは猿まわしが担ってきた「隠密」、つまりスパイとしての役割をはっきり書いたことである。そしてもうひとつは、猿まわしが牛馬の祈祷(きとう)に特化したシャーマンであったことを、明らかにしたことである。 江戸時代の浅草には、弾左衛門(だんざえもん)屋敷を中心とする特別な町があった。ここには死牛馬の皮を扱う職人を中心に、木綿を売る店、質屋、湯屋、髪結い
これは読まずにはいられなかった。成文社はいい仕事をするなあ。ロシアのオリエンタリズム―ロシアのアジア・イメージ、ピョートル大帝から亡命者作者: デイヴィド・シンメルペンニンク・ファン・,浜由樹子出版社/メーカー: 成文社発売日: 2013/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 原書は,David Schimmelpenninck van der Oye, Russian Orientalism: Asia in the Russian Mind from Peter the Great to the Emigration (New Haven: Yale University Press, 2010)*1。こんな分厚い専門書が原書発売から3年で邦訳されるとは,訳者も出版社も実にすばらだと言うほかない。 なお訳者は以前同じ出版社から『ユーラシア主義とは何か』(成文社,
■それぞれの語りに耳を傾ける 本書は、アイヌの母と日本人の父とのあいだに生まれ、阿寒湖のお土産屋さんで育った四十代前半の著者が、自らのルーツとアイデンティティーについて真摯(しんし)に考えた記録だ。 著者は、親戚をはじめとするアイヌの人々、樺太の少数民族ウイルタの老女など、さまざまなひとから話を聞く。冬の川の様子。サケ漁や狩猟の思い出。夫婦や家族の歴史。語り手たちの人柄が生き生きと伝わってきて、読んでいて何度も笑い、涙した。 かれらの語りや、著者がたどる先祖の足跡から浮かびあがるのは、明治期以降の「同化」政策と戦争がもたらした影だ。アイヌだけでなく樺太に住む少数民族も、日本語を話し、日本式の生活をしなければならなくなった。 しかし同時に、かれらは強制的な「日本化」に静かに激しく抵抗し、民族の言葉や文化風習を決して捨てなかった、という事実も浮かびあがってくる。著者の曽祖父は同胞と会い、ほとば
→紀伊國屋書店で購入 親韓派による韓国の漢字廃止批判である。 豊田有恒氏は『宇宙戦艦ヤマト』の設定者として有名だが、ヤマトタケルを主人公にしたヒロイック・ファンタジーを手がけたあたりから日本の古代史や朝鮮半島の歴史に関心を広げ、そちらの方面の著作が多くなった。軍事政権という暗いイメージしかなかった1970年代から韓国を50回以上も訪れ、学ぶ人がまだあまりいなかった韓国語をマスターして交友関係を広げてきたという。昨今の韓流ファンとは年季のはいり方が違うのだ。 豊田氏は朝鮮半島の人々と文化を敬愛するがゆえに韓国の漢字廃止政策を大変な損失と嘆き、年々過激化していくハングル至上主義に警鐘を鳴らしている。 漢字廃止が文化の継承を危うくし人々の思考を浅くしているという批判は呉善花氏の『漢字廃止で韓国に何が起きたか』でもみられたが、呉氏の批判の要諦は漢字を使わないと同音異義語が判別できなくなることと、関
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