『あかぼし』は吉野竜平監督のスリリングで感動的な長編デビュー作である。精神のバランスを崩し新興宗教にのめりこんでいく母親を、幼い息子の目を通して描く。 ――以前、短編や他の作品を撮ったことは? 吉野監督:短編を何本か撮りました。 ――それらの作品も今回の作品のように、家族をテーマにした登場人物を2~3名に絞ったものだったのでしょうか? 吉野監督:前回に撮ったのはゲイの中年男性とモテない女の子のふたりだけの芝居でした。『月のかげ』という作品です。東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映されました。 ――プロフィールには映画制作の現場のほかにラジオの仕事も手掛けておわれるそうですが。 吉野監督:ものすごく小さなコミュニティFMで、企画とディレクターと編集をやっています。 ――俳優の演技がすばらしかったです。まずは朴璐美さんについて少しお話ください。 吉野監督:とてもパワフルな人で、それはスクリーン