『禁じられた歌声』。2012年に西アフリカ・マリ共和国の北部が複数のイスラム過激派組織に制圧された事件を題材にした劇映画 フランスのセザール賞で最優秀作品賞をはじめとする7部門を独占したモーリタニア映画『禁じられた歌声』は、2012年に西アフリカ・マリ共和国の北部が複数のイスラム過激派組織に制圧された事件を題材にした劇映画だ。 舞台となる古都ティンブクトゥは、イスラム過激派のジハーディストに占拠され、住民たちは極端な解釈を施されたシャリーア(イスラム法)に基づく恐怖政治に支配されていく。音楽、たばこ、サッカー、不要な外出などが次々に禁じられ、不条理な懲罰が繰り返される。歌を歌った女性は鞭で打たれ、事実婚のカップルに対して公開処刑が行われる。 そして、恐怖政治の暗い影は街外れに暮らす牛飼いの男とその家族にも忍び寄る。キダンは、妻のサティマ、娘のトヤ、孤児の少年イサンとともに質素なテントで平穏