iPS細胞などの研究成果を早期に臨床応用して産業化につなげるため、安倍政権が成長戦略の一つにかかげた「日本版NIH」について、日本生理学会など生物学関連54学会が11日、緊急声明を出し、懸念を表明した。医療や産業応用ばかりを目指すのではなく、「多様な基礎研究が必要」としている。 日本版NIHは、医療・医学関連の研究開発の総合戦略を立て、関連予算を一元化、重点配分する「司令塔」。声明では、主に基礎研究に配分されている「科学研究費補助金」が削減され、産業応用のための研究に振り向けられる事態を懸念。科研費で支えられている研究者は10万人以上いるとし、「次世代の多様な研究人材の育成がおぼつかなくなる」と危惧した。 会見した生物科学学会連合幹事の宮島篤東京大教授は「クラゲがなぜ光るかという研究が、数十年後に医学研究を支え、ノーベル賞をとった。多様な研究をつぶしてはいけない」と述べた。財源や規模な