開発途上国の貧困削減、経済発展のため、日本のODAは今後どのようなアプローチで臨めばいいのか。気鋭の開発経済学者が提言する。 成果はあったが知られていない日本の援助サケの生産が盛んで、日本に大量にサケを輸出している国はどこか。答えは、チリである。それでは南半球で、大豆の生産が盛んな国はどこか。ブラジルである。しかし40~50年前には、チリには一匹のサケも生存していなかったし、ブラジルは大豆の大生産地ではなかった。それでは誰がチリでサケの養殖を始めたのか、誰が不毛と信じられていたブラジルのセラードという広大な土地で大豆の栽培を始めたのか。答えは日本人であり、JICA(現在の国際協力機構)である。しかしこれらの偉業を誰が実現したかについては、日本ばかりでなく外国でも知られていない。世界銀行では、チリのサケやブラジルの大豆の生産の大成功はしばしば話題にのぼるが、日本がそれに貢献したという認識はな