ぼくが映画界でいちばん好きな俳優が、三船敏郎である。これは中学時代に黒澤映画にハマって以来、変わっていない。 三船の演技には(特に黒澤作品においては)、照れや遠慮がまったくない。 映画におけるルールやお約束などお構いなしに、走り、吠え、泣き、斬り、肩でぜいぜいと息をしている。 三船を自身の戦後からの作品のほとんどにおいて主役として起用した黒澤明監督は、彼の俳優としての魅力を次のように語っている。 「三船は、それまでの日本映画にはない、類まれな才能だ。ともかくそのスピード感は抜群だ。普通の役者が10フィートで表現するところを、三船は3フィートで表現してしまう。しかも驚くべき繊細さと感覚を持っている。めったに役者に惚れない私も三船には参った」 (黒澤の自伝「蝦蟇(ガマ)の油」より) ぼくはこの賛辞を、乃木坂46の生駒里奈にも送りたい。いや、ぼくなんかより、これまで一緒に生駒里奈と仕事で関わっ