焼きたてパンの“ふわふわ食感”が翌日も続いたら……。そんな夢のようなパンが実現するかもしれない。パンを柔らかくするには、乳化剤など「何かを加える」のが製パン業界では主流だ。ところが、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)と日本製粉株式会社が共同で開発した小麦で作ったパンは、乳化剤などを加えず小麦粉そのものだけで、3日経ってもその柔らかさを失うことがないという。 パンの食感の決め手は「デンプン」 そもそもパンはなぜ時間が経つと硬くなるのだろう。これにはパンの材料の小麦に含まれるデンプンが関わっている。デンプンは米や小麦などの穀物に多く含まれる成分で、炭水化物として私たちの食生活に不可欠だ。水と熱を加えると組織がほぐれ柔らかくなりゲル(糊)状になるが、冷めるとデンプンの老化という現象が起こり、ゲルから水分が離れ白濁して硬くなる。このデンプンの老化現象が、焼きたては柔らかかったパンが硬くなる