受精卵の遺伝子を改変して、生まれる前に難病を「予防」する──。そんな技術を可能にする「ゲノム編集」について、国際的な議論が起きている。遺伝病の予防に道を開くメリットが期待できる一方、未知の副作用を起こす、ひいては人類という種そのものに影響を 与えるリスクもあるからだ。命を操る技術に、私たち一人一人はどう向き合えばいいのか。専門家と当事者の思いに耳を傾けた。(ライター・庄司里紗/Yahoo!ニュース 特集編集部) 今年 2 月、米国の科学者で構成される全米科学アカデミー(NAS)は、ヒトの受精卵に対し、ゲノム編集で遺伝子を改変することを条件付きで容認する報告書を発表した。これまでヒト受精卵ゲノム編集の臨床応用(生殖医療応用)に慎重だった NAS の方針転換は世界を驚かせた。 一方、日本の科学アカデミー・日本学術会議の検討委員会は、今年 3 月に公表した素案で