8月12日、米国の連邦準備理事会(FRB)の金融政策は、次の9月会合が注目される。ワシントンのFRB本部で2017年5月撮影(2020年 ロイター/Kevin Lamarque)
8月12日、米国の連邦準備理事会(FRB)の金融政策は、次の9月会合が注目される。ワシントンのFRB本部で2017年5月撮影(2020年 ロイター/Kevin Lamarque)
教科書とは異なる「中央銀行の現実」 筆者は、銀行に就職してからはディーリング(国内・海外)、経済調査や決済インフラを仕事にして、さらに大学・大学院で金融論などを教えている。大学時代から金融市場を研究し、金融とのかかわりは早37年が経つ。 ところが、「現場」で実際に市場にタッチしていると、金融論の教科書における金融政策の「中央銀行は金融政策を担当し……」という画一的な説明に違和感が強い。 中央銀行や金融政策は各国ごとに「かなり違う」のである。ここでは、特に日本銀行の金融政策の特徴とその予想を解説したい。 当たり前のことであるが、日本銀行は日本の中央銀行である。 先進国の中央銀行であるので、ご多分に漏れず、超金融緩和を行っており、欧州と同様に短期金融市場における政策金利はマイナス域になっている。 日本では、これ以上の金融緩和(いわゆる「深堀り」)は副作用の方が強い「イメージ」をもっている投資家
10月29~30日のFOMCでは追加利下げが濃厚。その後のマーケットはどうなるのか(写真:AP/アフロ) 10月13日、米ワシントンDCで行われた閣僚級の貿易協議で、米中両国は部分的な合意を締結した。中国が400~500億ドルの農産物を購入、一方でアメリカは10月15日から予定していた30%の関税引き上げを見送るというのが主な内容で、一連の交渉で双方が初めて正式な合意を結ぶこととなった。 包括合意に向けた第1歩として、交渉の進展を前向きに評価する向きがあるのも事実だ。一方、アメリカはファーウェイへの制裁措置の緩和を見送っており、12月に予定されている関税引き上げに関する判断を保留するなど、中国に対する圧力を緩めていない。このことを理由に、交渉はやはり難航するとの見方もあり、今後については見通しも大きく割れているのが現状だろう。 ただ、正式な合意文書の作成に数週間を要する上、双方が署名しない
当社理事長室では、研究顧問の吉川 洋 立正大学学長、山口 廣秀 理事長の2名の共著として、研究レポート「金融リスクと日本経済」をまとめた。本レポートでは、世界金融危機から11年が経過した現在、米国の金融リスクが危機前の水準を超えつつあってバブルが破裂する惧れと、日本経済に及ぼす影響の可能性について指摘している。 現在米国では、資産価格が高騰、企業債務も拡大するなど、金融リスクが世界金融危機、リーマンショック前の水準を超えつつあり、来年にかけてバブルが破裂する可能性がある。その場合、日銀の超金融緩和政策もあって、金融機関の収益力や体力がかなり低下し、海外からのショックに対し脆弱になっている日本においては、受ける影響が世界金融危機時を大きく上回る可能性がある。こうした中で、日銀の追加緩和が行われるとすると、金融機関の体力が一段と脆弱化し、危機への対応力も弱まる可能性があることから、日銀に対して
日本銀行の7月30〜31日の金融政策の見直しをどう見るか。FRB(米連邦準備理事会)、ECB(欧州中央銀行)に続いて出口を目指したものと考えてよいのか。 発表された展望レポートでは、2018年度の政策委員による物価見通し(生鮮食品を除く消費者物価指数、対前年度比)の中央値が1.3%から1.1%に下方修正された。2019年度、2020年度も下方にシフトしている。事実上2020年度までの2%の目標達成をあきらめたことになり、それを踏まえて、「長短金利操作付き量的質的金融緩和(YCC)」を調整したという。 具体的には、長期金利の誘導目標は0%に据え置きながらも、これまで上下0.1 %としていた変動範囲を「倍程度」、つまり上下0.2%まで容認するとした。年間約6兆円としていたETF、J-REITの買入額も柔軟化、ETFの買い入れ対象も東証株式指数(TOPIX)連動の割合を増やす。 講じられる措置は
[東京 21日 ロイター] - 元日銀審議委員で慶應義塾大教授の白井さゆり氏は21日、ロイターのインタビューに応じ、黒田東彦総裁の続投を軸とした日銀の新体制においても、安倍晋三政権の下では金融政策の正常化に踏み出すことは困難と語った。 2月21日、元日銀審議委員で慶應義塾大教授の白井さゆり氏は、ロイターのインタビューに応じ、黒田東彦総裁の続投を軸とした日銀の新体制においても、安倍晋三政権の下では金融政策の正常化に踏み出すことは困難と語った。都内の日銀本店近くで2014年1月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino) 経済・物価が下振れた場合の追加措置では、一段の利下げは難しく、長期国債の買い入れの増額にならざるを得ないとの見方を示した。 政府は16日、日銀総裁に黒田氏の続投と2人の副総裁に若田部昌澄・早稲田大学教授、雨宮正佳・日銀理事を起用する人事案を国会に提示した。 白井氏は、正
Bill Gross. Photographer: Patrick T. Fallon/Bloomberg 女優で人気司会者のオプラ・ウィンフリー氏はゴールデン・グローブ賞のスピーチで、女性を虐げる男性の「時代は終わった」と宣言したが、著名債券投資家のビル・グロース氏に言わせれば、抑圧された金利に債券市場が支えられる時代も終わった。 同氏は11日公表した月次投資コメントで、「男性と同様に、債券も弱気相場に入った」とし、「オプラは『新しい時代が到来した』と叫んだが、その通りだ。債券弱気相場の時は来た。私を含め多くの人は『潮時だ』と言うだろう」と記述した。 グロース氏によると、35年続いた債券強気相場の終わりは10年物米国債の利回りが過去最低を付け、「二番底」のパターンを形成した2016年7月だったかもしれない。当時はそれが明確でなかったが、今週9日に10年債利回りが2.5%を超えた時、弱気相
[東京 25日] - トランプ米大統領とロシアとの癒着疑惑がクローズアップされている。連日、マスメディアからロシア疑惑に関する報道が相次いでいるのは、トランプ政権を擁護する者が減り、情報をリークする者が増えているためだろうか。 来週30日以降には、大統領によって解任されたコミー前米連邦捜査局(FBI)長官が上院情報委員会で証言する予定であり、証言内容によってはドル安やリスクオフの円高に振れることもあり得る。 ただし、政権から独立した特別検察官の指揮下でFBI捜査が進むにしても、疑惑の真相が解明されて大統領弾劾の是非が結論付けられるにはかなりの時間を要するだろうし、この要因でドル安・円高が急速に進むとは考えにくい。 なお、ニクソン大統領のウォーターゲート事件では、コックス特別検察官任命の1973年6月から特別検察官解任(同10月)、下院・大統領弾劾勧告(74年7月)、大統領辞任(同8月)を経
[東京 11日] - 驚きの結果に終わった米大統領選を受け、ドル円相場は約3カ月続いていた100―105円を中心とするレンジを上抜け、予想外に上昇した。米長期金利が急騰し、日米10年金利差が拡大していることが主因と考えられる。非常に強かった過去2カ月間の相関からすると、ドル円にはもう少し上値余地があるようにも見える。 11月11日、JPモルガン・チェース銀行の佐々木融・市場調査本部長は、オプション市場で6月の英EU離脱選択前後と同じ現象が起きているとすれば、ドル円は1カ月以内に反落に転じる可能性が高いと予想。提供写真(2016年 ロイター) 今後の水準としての目安は、7月につけた107円台半ば近辺だろう。これを短期的に上抜ける可能性が排除できないと考えるが、上抜けして、さらに1円程度上昇し、そこでドル円の上昇期待が非常に高まった辺りがピークになるのではないかと見ている。 日本側の要因は、ド
トランプ氏優勢で大統領選の開票が進んだ9日、東京市場では株価が急落し、円は対ドルで英国の欧州連合(EU)離脱派が勝利した6月24日以来の上昇率を記録した。しかし、米国時間にはトランプ氏が主張する大規模減税やインフラ投資拡大による成長促進や財政赤字拡大の思惑から、株価と米金利が上昇。翌日の為替市場では、ブルームバーグのドル指数が約8カ月ぶりの高値を付け、円は1ドル=105円96銭と7月下旬以来の水準に下げた。 榊原氏は米金利の上昇と、雇用や輸出に有利なトランプ氏のドル安志向は、市場の論理としては「両立しないため、当面は乱高下しやすい」と読む。ただ、米経済の伸び悩みを踏まえれば「米金利もどんどん上がっていく感じではない」、次期政権は「ドル安志向なので、あまり利上げを好まないかもしれない」と指摘。今や、米連邦準備制度理事会(FRB)による12月の利上げは「ほぼ五分五分」だとみている。 榊原氏は9
[東京 11日 ロイター] - ドナルド・トランプ氏が米大統領選での勝利宣言を行った9日夕(日本時間)以降、ドル高と米長期金利上昇が進み、その後は米株高にもなった。これはほぼ「完全雇用」の米国でウルトラ財政出動をすれば、何が起きるのかということをマーケットが予想した結果だろう。ただ、ドル高が一定水準で止まる保証はない。 トランプ次期大統領がどこかでストップをかけるのか見ものだ。 <急上昇する米長期金利> 最も劇的に変化したのは、米国債利回りだろう。10年債US10YT=RRは9日の取引で2%に乗せ、10日には2.13%台まで駆け上がった。30年債US30YT=RRの上昇はさらに急ピッチで10日には2.94%台と3%が視野に入ってきた。 日米金利差に着目した市場は、ドル/円JPY=EBSを押し上げた。10日の欧米市場では106.95円まで上昇し、早くも「トランポノミクス」の威力を見せ付けた格
しゅくわ・じゅんいち 博士(経済学)。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月同行退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、上智大学等で非常勤講師として教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省、全国銀行協会等の経済・金融関係委員会に参加。06年よりボランティア公開講義「宿輪ゼミ」(下記ご参照)を主催し、今年度で12年目・開催は230回を超え、会員は“1万2千人”を超えた。映画評論家としても活動中。主な著書には、日本経済新聞社
【株価は8月に一気に1万5000円を割る 2016年「景気と経済」大予測(1)】はこちら 米国が利上げしても、円安にはならない 「米国が利上げに踏み切れば、日米間の金利差が広がるので、マネーはドルに向かう。米国の利上げ期待が続く限り、ドル円相場は1ドル=120円をはさんで上下数円の幅で動いていく」(大手証券為替アナリスト) これがよく語られる、ドル円相場の2016年の市場予測だ。が、マーケットの最前線ではいま、まったく別の予測が急浮上している。 米国が利上げをしても、円安にはならない。'16年は円高転換のアニバーサリー(記念年)になる、というのがそれ。経済アナリストの中原圭介氏が指摘する。 「利上げが円安を誘引すると考える人は多いが、実は間違い。むしろ、過剰に進んだ円安を修正し、為替トレンドを円高反転させる引き金となる可能性が高い。 振り返れば、米国が'12年9月にQE3と呼ばれる量的緩和
なぜ雇用統計が不調でも米国株は急速に切り返したのか 10月2日(金)発表の米雇用統計は、市場の予想を下回る内容だった。非農業部門雇用者数については、すでに発表の7月分、8月分が下方修正されたうえ、今回公表された9月分も前月比で14.2万人増にとどまり、メドとされる20万人を大きく下回った。 また週当たり労働時間は伸び悩んでいる(9月の労働時間の前年比はちょうどゼロ)。すなわち、労働投入量(=雇用者数×労働時間)の頭が重くなっているわけで、これはそのまま仕事量の伸び悩みと読み替えられる。 米国の経済諸指標をざっと眺めると、内需系の指標、すなわち自動車販売、小売売上高、住宅着工などは、今年初の厳冬や西海岸の港湾ストの影響を脱したのち、概ね回復基調を維持している。すなわち、内需を中心とした米国経済の回復基調自体は、懸念する必要は薄い。この景気の強さが、週末2日の米株価や米ドル相場を、「雇用統計シ
話題の一冊を書いた元国家戦略担当相が指摘 「財政破綻」「ハイパーインフレ」という悪夢は、そこまで迫っている! 国債など国の借金が1000兆円を超える中、経済成長を優先する安倍晋三内閣は、予算の削減に消極的なようにみえる。 民主党内閣で国家戦略担当相を務めた古川元久・衆議院議員は、このままでは、もはや財政破綻は避けられないと語る。最近上梓した『財政破綻に備える 今なすべきこと』(ディスカヴァー携書)では、破綻を前提に地域社会が自立することで新しい価値観をもった経済態勢を目指すことを提言している。 アベノミクスの限界 ーーータイトルを拝見して、日本の財政危機を訴えることで増税ムードを作ろうとする最近はやりの本かと思いました。古川さんは財務省OBでもあるので。 古川 どう考えてもこのままでは財政破綻せざるを得ないでしょう。もちろんそれを回避するための努力は必要なのですが、今、安倍晋三政権がアベノ
6月30日、政府は「経済財政運営と改革の基本方針2015」、いわゆる骨太の方針の2015年度版を閣議決定した。副題は「経済再生なくして財政健全化なし」。財政健全化計画について述べた第3章には、「『経済再生なくして財政健全化なし』。これは、経済財政運営における安倍内閣の基本哲学であり、2020年度(平成32年度)の財政健全化目標の達成に向けた今後5年間の計画の基本方針でもある」「我々が目指すのは経済再生と財政健全化の二兎を得る道である」「経済と財政は相互に密接に関連している。両者の相互の関係を常に踏まえ、経済再生が財政健全化を促し、財政健全化の進展が経済再生の一段の進展に寄与するという好循環を目指す」という文章がある。 重用されない財務省の官僚 とはいえ、これら2つは実際には対等ではなく、安倍晋三内閣では財政健全化に向けた施策(歳出抑制や増税)よりも、経済成長(税収面では自然増に期待)の方に
7月3日、元日銀理事で現・富士通総計の早川英男エグゼクティブ・フェローは都内で講演し、政府の財政再建計画は信頼性が乏しいと指摘した。早川氏、都内のロイター社で昨年5月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai) [東京 3日 ロイター] - 富士通総計の早川英男エグゼクティブ・フェローは3日、都内で講演し、政府の財政再建計画は信頼性が乏しいと指摘。政府の財政再建を前提に日銀が進める量的・質的緩和(QQE)は、長期金利の急騰や急激な円安を招く「失敗に陥る確率が8割に高まった」と警告した。 早川氏は元日銀理事で、日銀の経済分析の責任者を長年務めてきた。 <財政信認なければ円安とインフレのスパイラル> 早川氏は、足元で前年比横ばいにとどまる消費者物価指数の上昇率が「秋口以降は、昨年の原油安の反動もあり急ピッチで上昇する」と見る。目標とする2%には「日銀が主張する2016年度前半の達成は難し
(ブルームバーグ):BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは2年前の量的・質的緩和導入後の物価上昇に貢献したのは10兆円規模の2012年度補正予算の執行で、金融政策の役割は追加歳出に伴う金利上昇の抑制にとどまったとの見解を示した。 河野氏は3日、ブルームバーグとのインタビューで、インフレ率の改善の主因について「10兆円を超える12年度補正の効果が大きかった。GDP(国内総生産)で2%強の政策を執行したので、13年度の成長が2.1%になったのは当然ともいえる」と指摘した。その上で、「追加財政に伴う金利上昇圧力を大規模な国債購入で相殺したというのが日銀の貢献。主は財政で、金融緩和は従だ」と分析した。 河野氏は13年4月の消費増税や原油下落などの要因を除いた生鮮食品を除いたコア消費者物価(CPI)はマイナス0.6%だったが、今年4月はプラス0.5%と見込んでいる。この1.1ポイントの
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