金融政策の余地は限られる……(記者会見する日本銀行の黒田東彦総裁)=2020年7月15日(代表撮影) 次期総理となる自民党新総裁は、1年の任期の中で東京オリンピック開催の是非という大きな政治的決断を迫られる。ここに相当なポリティカル・キャピタル(政治的資本)を費やさざるを得ない新総裁は、金融政策にはあえて触れたがらないだろう。とりわけ、短期的に不人気になりやすく、また発言自体が市場を揺り動かしかねない出口政策に言及する可能性は低い。新総裁は安倍政権の金融政策との関係を継続する流れがすでにできており、この流れを超えた発言が得にならないこともわかっているので、「日銀に任せてある」という言い方が基本になるだろう。 今の市場は公的介入に慣れきっており、「困ったら日銀が買いに出てくれる」ことが織り込まれてしまっている。こうした状況で出口のメッセージを出すのは、誰にとってもリスクが大きく、度胸のいる決