先々週以来、漲る愛国心と日本の将来を憂う気持ちが相まって、日本の教育の悪い点ばかり書き連ねてしまったので、今週と来週は日本の教育の良いところを書くつもりだ。良いところも、実はたくさんある。特に義務教育が良い。 「日本の教育は崩壊している。それに比べて、ドイツは教育がしっかりしている。その話をしてほしい」などという依頼をときどき受けるが、それは妄想だ。おそらく日本人は、古き良き時代のドイツの峻厳なイメージを、未だに根強く持っているのだと思う。 ところが今のドイツの教育は、全体として見るなら日本よりももっと崩壊している。上と下の学力の差は甚だしく、そのため、ただ上だけを見ればドイツの教育はなかなか立派だが、下を見れば、日本人はホッと安堵のため息をつくだろう。 私は、教育の最大の目標というのは、国民の学力の最低線を上げることだと思っている。つまり、義務教育の充実だ。一握りのエリートと、たくさんの