「ブラック・ムービー」とその中に登場する食べ物について取り上げていくシリーズの最終回は、2010年代ブラック・ムービーの代表作と、劇中に登場する料理について述べていく。 ブラック・ムービーの過去・現在・未来 ブラック・ムービーはサイレント期の1910年代以来アメリカ社会における黒人の状況とリンクし、紆余曲折を経ながら発展を続けてきた。前回の「黒いジャガー」に代表されるブラックスプロイテーション映画、前々回の「ドゥ・ザ・ライト・シング」に代表されるスパイク・リーの作品群もその中で生まれてきたものであるが、近年流れが変わった。 2016年製作のバリー・ジェンキンズ監督作品「ムーンライト」が第89回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞(フアン役のマハーシャラ・アリ)、脚色賞の主要三部門で受賞した。また、2018年製作のマーベル映画「ブラックパンサー」(ライアン・クーグラー監督)が大ヒットを記録した。